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(株)マルハチ村松

■「カツオだし老舗の変革への挑戦」

業種:カツオ節製造業
(株)マルハチ村松

明治元年(1868年)にカツオ節製造業として創業した(株)マルハチ村松(静岡県焼津市、村松憲行社長)。液体状の「鰹(かつお)エキス」や粉末状の「鰹の素」といったカツオだしの商品を拡充、現在は業務用カツオだし製造大手になった。だが時は目まぐるしく変わる。「現状維持なら衰退を意味する」(村松憲行社長)が同社経営の基本。

具体的にどうするか。やはり経営資源を活用した新たな柱を作るしかない。幸い、同社には長年培った技術とノウハウがある。しかも顧客が同社を信頼し評価してくれている。とりわけ食品関連分野ではこのことが何よりの宝だ。伝統を大切にすると同時に革新の意欲に燃える5代目の村松社長は、カツオだしに加え、新たな柱づくりに乗り出す。

まず機能性食品に目を向けた。1990年代半ば以来のこと。「消費者は美味しさだけでなく健康を求めるようになった」(同)。2005年に機能性食品用素材を開発し、食品メーカーに売り込みをかけた。この効果があって食品メーカーから同素材の製造委託を受けた。この素材にはカツオだし製造で培った抽出技術などの高い技術力が要る。

同社はさらに自信を深める。受託製造をこなすうちに「オンリーワン素材を開発したい」(同)と研究に取り組んだ。その結果できたのが初のオリジナル素材「マックスシリーズ」。その中の「ボニマックス」は文教大学との共同研究だ。カツオの身から抽出したヒスチジンなどが主成分で脂肪燃焼効果を見込む。

このほか静岡工業技術センターや静岡県立大学などと共同研究を行い、成果を挙げつつある。一部食品メーカーではボニマックスを採用した商品を発売している。もう一つの柱としてバイオ医薬用素材も手掛ける。カツオなどの赤身魚を原料とし、供給先の製薬会社と共同開発、製造を始めている。「老舗」と「変革」は相反することなく、老舗の底力は変革をす潤滑油ともなる。そこには、トップの強い意思が貫かれている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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