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(株)アタゴ

■「世界を股にかけ、150か国以上に輸出」

業種:屈折計製造販売
(株)アタゴ


食品の糖度や塩分などを測定する屈折計で、国内市場はもとより世界市場でもトップシェアを誇るのが(株)アタゴ(東京都)。同社製品のユーザーは、世界の国数200弱の4分の3を上回る150か国以上に及ぶという。売上高が1兆円を超えるような大企業でも150か国以上にユーザーを抱えるといったら数えるほど。社員は約200人、売上高が数十億円規模のアタゴは、わが国中小企業の理想形の一つ「グローバル・ニッチトップ」企業として世界を股にかけている。

昭和15年(1940年)、雨宮秀行現社長の祖父が屈折計や分光器を製造販売する雨宮精器製作所を興したのが始まり。以後、70有余年にわたって、着実な歩みを続け今日に至る。数年前、経産省の「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれ、格付け大手のスタンダード&プアーズの中堅・中小企業格付けで最高位の「トリプルa」を付与されたことが同社の優良企業ぶりを如実に物語る。

創業者の雨宮喜平治氏は1950年代にコンパクトな手持ち屈折計を開発して、すぐに輸出に乗り出す。欧州ではワイン用ブドウの糖度測定用などとして販売した。50年代にいち早く海外市場に目を向けた進取の気性は脈々と受け継がれ、今日の150か国以上への製品提供につながっている。現在、手持ち屈折計や糖度計で国内市場は90%、世界市場では30%のシェアを持ち、「グローバル・ニッチトップ」の確固たる地位を築いた。

雨宮社長は「シェア獲得のため、新興国や他社が目を向けていない地域に早めに手を打つようにしている。すぐに費用対効果が表れなくても、10年ぐらい先に結果が出ればいいと思ってじっくり取り組んでいる」と語っている。実際、社内にアフリカ部を新設して、手つかずの西アフリカ地域の市場開拓に乗り出したりしている。米ネバダ州立大学に留学し、学生時代に数多くの発展途上国を見て回ったという雨宮社長自らが輸出責任者となり世界中を飛び回っているところだ。

今、少子高齢化による国内市場の縮小から、大手はもちろん中小企業も海外展開が欠かせないと声高に叫ばれている。半世紀以上前に海外に雄飛し、今でも貪欲に未開の市場を掘り起こし続けるアタゴに学ぶべき点は少なくない。「即実行。いったん逃がしてしまうと"そいつ"は2度とやってこないがモットー」(雨宮社長)と、常に幸運の女神の前髪をつかもうとする姿勢が、何より大切なのかもしれない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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