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オーラルソニック(株)

■「ノイズを減らし、欲しい音を残す調音パネルで世界へ飛翔」

業種:ノイズ軽減パネルの開発
オーラルソニック(株)


アカデミー賞授賞式の会場、歌舞伎座、NHKや民放テレビ局のスタジオ、医療機関のカウンセリング室…。さまざまな施設に導入され、好評を博しているのがオーラルソニック(福岡市、古澤秀和社長)製の音響パネル「オーラルソニック」。自ら"調音パネル"と称するこの製品は、従来品にはないオンリーワン的機能も発揮する。「昭和のソニー精神を受け継ぎ世界へ羽ばたきたい」(古澤社長)と、高みを目指して、大きくジャンプしようとする同社である。

2002年、古澤社長は内装会社、ハウス119を福岡市に興す。シックハウス症候群対策に腐心するなど、住む人の健康に配慮した仕事を心がけた。より良い住環境を目指す中で、音に対する興味・関心が高まり、研究を深めた末、2009年、音響パネルを開発し商品化する。音楽関係者向けに販売すると、すぐに評判となり、ミュージシャンの坂本龍一氏が「今まで何を聴いていたのか怖くなるレベル」と驚いたとの逸話も。昨年9月、社名を変え、調音パネルの開発・製造販売と音空間・音環境のコンサルティングに業務内容を特化して今日に至る。

同社のパネルは厚さが約2cmの薄型ながら、「除去したいノイズを軽減し、欲しい音をきちんと残すことができる不思議なパネル」(同社ホームページより)。吸収した音を遅延して反射させることで、空間を広く感じさせ、静寂感を高める作用があり、従来品では難しかった低音域に対しても効果的だという。こうしたオンリーワン的な要素が高く評価され、今、ユーザーのすそ野は急拡大している。

「高齢者施設で当社のパネルを導入したら、それまでしゃべられなかった人が、しゃべられるようになったとの報告がある。今後、医療福祉用パネルとしての普及浸透も図りたい」(古澤社長)。同社では、調音パネルには難聴者さらに認知症や自閉症の症状を緩和するような効果も期待できると見て、その方面の研究開発にも力を入れ、新市場を切り開こうとしている。

古澤社長は「これまでは足場固めの時期で、身の丈に合ったビジネスを心がけてきた。来年は世界に羽ばたき、一気にブレークしたい」とも語る。その一環として、来年1月に米国カリフォルニア州で開かれる世界最大の楽器・音響関連見本市「NAMM show2015」に出展、オーラルソニックを世界にアピールする。Sonic(音)由来の社名・ブランドのSonyは昭和の時代、トランジスタラジオで世界市場を席巻した。ソニーと"Sonicつながり"の同社は、調音パネルで「平成のソニー」の域まで駆け上ろうとしているようだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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