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(株)ブランカ

■「地元の銘菓「マドレーヌ」で成長軌道に」

業種:マドレーヌ等の焼き菓子メーカー
(株)ブランカ

東京のサラリーマン生活に区切りをつけて生まれ故郷の三重県鳥羽市に帰ってきたのは第一次石油ショック直後の昭和49年前後。仕事の当てもなく「自分で何かやろうと考え始めた。どうせやるなら製造から販売まで一貫してできる仕事をしてみたい」―焼き菓子製造販売の(株)ブランカ(鳥羽市)の石井隆久社長は当時こんなことを頭に描いていたという。

あれこれ考えた末にパンの製造販売をやろうと決意した。近くにパン屋がなかったことが主な理由だったという。善は急げとばかり、さっそく神戸のケーキ屋でまず修業し、さらに東京に出てパン作りをみっちり学んだ。石井社長は昭和53年、自分で500万円、友人らから500万円を工面して資本金1000万円でブランカを設立した。

その後紆余曲折があったものの、努力の甲斐あってパンとケーキはかなりの売れ行きになった。ところが「数は出るが経費を差し引くと利益があまり残らない。こんな経営では先行き不安だ」(石井社長)と収益の柱になる商品を模索し始めた。そして完成させたのが真珠のふるさと・鳥羽にふさわしい「あこや貝」の形に焼き上げたマドレーヌ「シェルレーヌ」(商品名)であった。

創業16年目にしてできた同社の看板商品だ。次第に、地元の銘菓ともいわれるようになる。当初観光客向けの商品として売り出したが、地元の人にも買ってもらおうと販路をガラリと変え、観光客向けからは完全に撤退して県内の量販店での販売にシフトした。シェルレーヌはこうしてパンの販売を支えるための「脇役」から次第に「主役」の座に躍り出た。これまでの主力だったパンからは撤退しシェルレーヌ中心に商品を絞り込んだ。

シェルレーヌは小麦粉、卵、茶など材料のほとんどが地元産。伊勢市が天然記念物に指定している「蓮台寺柿葉」を練り込んだものも好評だ。同社の商品は現在、リング、板状のバウムクーヘンなどにも広がっている。自社直営店による販売も順調に伸び数量ベースで年率10%の成長を続け、利益も出るようになった。「今後チョコレートと焼き菓子を組み合わせた商品や高級感のある贈答用の焼き菓子にも挑戦したい」(同)という。オンリーワン商品の強みを生かす経営にはいささかのブレも見当たらない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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