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2010年の記事

 

 

 

(有)ヤマト染芸

■「本物には力がある」

業種:江戸友禅の製造販売
(有)ヤマト染芸

「友禅」とは模様染めのこと。その技法は、江戸時代に京都の宮崎友禅斎が扇絵の斬新な絵柄をデザイン化したのが始まりとされている。彼の名「友禅」が今日まで使われている。後に加賀藩に持ち込んで独自の発展を遂げたものが「加賀友禅」だ。また、「江戸友禅」は、江戸時代の後半、文化文政の時代に始まり、華麗さと渋さを合わせ持つ高級感が特徴だ。

本物の江戸友禅にこだわっている企業がある。(有)ヤマト染芸(東京都新宿区:外山憲史代表)だ。下絵は、フリーハンドで一気に描き上げる。「紙などから映すと線が萎縮する。一本の線の伸びを追求したい。」と外山社長。下絵を描く際は、「青花」という露草のエキスのみを使用しているが、一年に一回しか収穫できない貴重なものだ。

下絵をトレースする防染糊は餅粉を炊いたもの(真糊:まのり)を使う。扱いやすいゴムを使用する企業も多い中、ここは最もこだわる部分だ。真糊を使用すると色合いが暖かく、味わい深い仕上がりになる。但し、糊の粘度、堅さ、水分を吸収する速度は、季節はもちろん日ごとに変化するため豊富な経験が必要で手間もかかる。

染料を塗ることをこの業界では「友禅を挿す」と言っている。染料については、退色しにくい製品に仕上げるため、扱いにくいが、色の堅牢(けんろう)度が極めて高い含金染料を使用している。「友禅師たちには自分やお客さんが依頼したこと以上のものを要求している」と同代表。作業に入る前に長い時間、じっと推考する友禅師の姿がある。

父は色染め職人だったが、製品まで作りたいという思いが強く、息子の憲史さんが製品作りを手がけていった。もう40年以上も前から後継者難と言われている業界。染めに使う道具類も作れる人は少なくなっていて、取り巻く状況は益々厳しくなっている。それでも「本物を一人でも多くの方に身につけてもらいたい」と同代表は話す。一切妥協のない江戸友禅。 200年の伝統文化を残し、さらに発展させていくために闘いの日々が続く。   


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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