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2006年の記事

 

 

 

 

 

英弘精機株式会社

 

■独創技術の気象情報で時流に乗る

業種:研究室向け気象観測データの提供
英弘精機株式会社

気象予報事業に係る規制が緩和されて約10年が経つ。民間の新規参入を始め関連事業が続々登場して気象ビジネスが急拡大した。いまや競争時代へと突入しつつあるが、英弘精機株式会社(東京都渋谷区、長谷川壽一社長)は大学などの研究室向け気象観測データの提供で独創性を発揮し、全国をネットワーク化した「ネット気象台」で異彩を放っている。

「ネット気象台」が提供するデータは、ヒートアイランド現象や集中豪雨などの気象現象の仕組みなどが立体的に解析できる情報。このシステムを可能にしたのは、同社が産学連携で開発したリモートセンシング(遠隔探知)技術にある。それは紫外線レーザーを使用して高度5000メートルまでの上空の気温・湿度・エアゾル分布をリアルタイムに全国規模で計測する。21世紀型の新技術と言われて脚光を浴び、目下、小型で簡便な装置にして汎用性を持たせ、世界を視野に本格販売する勢いにある。

同社はメーカーと商社の2つの顔を持つ。1927年の創業以来、海外の特殊な分析機器を輸入販売する一方、自ら測定・試験機の開発・製造に打ち込んできた。ユーザーに直接的に接してモノ作りを進めるところに特徴がある。そこから生まれた日照計が、1998年に日本製品で初めて米国海洋大気庁(NO-AA )に採用されてから、環境・気象分野で一気に力をつけた。落ち込んでいた分析機器事業も立ち直り、今度は自社製品の輸出拡大に打って出てグローバル経営に拍車をかけてきたところだ。

来年、同社は創業80周年を迎える。すでに次の目標分野を太陽電池関連に設定して新製品開発が進行中で、気象事業と同様に“環境保全”が戦略テーマ。その成否は「社歴の長さよりも、開発型ベンチャー企業の原点を持ち続けることにある」と声を大にする長谷川社長。年輪を刻んでなお、清新な開発力を維持することがモノ作り企業発展の要点というわけだ。

 


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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