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2012年の記事

 

 

 

(株)扶桑ゴム産業

■「ネットとカタログで直販」

業種:工業用ゴムの削りだし加工
(株)扶桑ゴム産業


工業用ゴム製品の加工は一般に、金型に流し込むか射出成形が主流。これをブロックのゴムから機械で削り出す手法で新たな市場を開拓してきた企業が(株)扶桑ゴム産業(広島市、田村雅春社長)。機械加工は金型のように大量生産には向かないが、多品種少量や精度の求められるものはコスト、納期とも圧倒的に強い。

同社はゴム専門の販社機能を持つ加工業として社業を拡大。しかし、同社長は、付加価値の高い製品の製造にカジを切らないと価格競争に巻き込まれるだけと考えるようになった。ただ、その時は高い技術を持つ職人が同社にはいなかった。そこで数値入力だけで削れる旋盤を導入した。「職人がいないことを逆手に取った」(同社長)判断だった。

この路線が功を奏して後に「切削ゴム加工の扶桑」と評判をとるまでになる。同社では「毎月2000件以上の受注があるが、このうち1件当たりの受注量は10個程度が全体の80%以上」(同)。このため地元で営業するだけでは仕事絶対量が足りない。そこで同社長が考え出したのがインターネット販売とカタログ販売だ。

ネット販売は平成16年に開始、平成21年にカタログを加えた。ネット販売はネット社会の急速な進展と宅配便網の充実もあり順調に成長。一方で、工業用ゴム製品の冊子『ゴム通』を編集、発行し、これをネット通販画面と連動させた。製品紹介だけでなく加工技術の紹介なども行い、ゴム製品をイージーオーダーする「eカット」加工も掲載。顧客は建築業、美容院、ゲーム機メーカーなど多種多様、さらに一般市民からの注文まで表れた。

この結果「『ゴム通』で確認し、ネットで注文するビジネスモデルの仕組みが出来上がった」(同)。3代目である同社長自ら発案したネット・カタログ直販は着実に売り上げが増え利益率も上がっている。経営面では資本と経営を分離し、2、3代目社長と続けて創業家と姻戚関係のない、社員で入社した人が就任。「自分の後継者育成もこの観点で」と同社長の表情には自信がみなぎる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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