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(株)グローバルエナジー

■「逆転の発想で新型風車を開発」

業種:風車の研究開発
(株)グローバルエナジー


「今の世の中、分かっていることはほんの一握り。定説や常識にとらわれず、むしろその反対のことをやった方が、いい結果が出る」。こうした"逆転の発想"で新型風車を開発しているのが(株)グローバルエナジー(東京都)の鈴木政彦会長だ。再生可能エネルギーの柱の一つとして注目される風力発電に欠かせないのが風車。その風車の翼は通常、先細りの直線形となっているが、同社の翼は先太で、先端部分は曲がっている。まさに真逆の姿形が膨大なエネルギーを生み出すと鈴木会長は信じている。

10年ほど前、東海大学から風車の製作を請け負ったのをきっかけに、鈴木会長は風車にのめり込む。「ズブの素人なので、とにかく実験をした。何百、何千回と繰り返して、実験の数だけ失敗した末、今の形にたどり着いた」と振り返る。開発した新型風車の応用として、ラジコン飛行機や飛行艇も試作した。その形状と飛行性能は見る人を驚かせる。鈴木会長は「航空工学を支えるベルヌーイの定理や流体力学、空気力学の常識では考えられないことに、経験則の積み重ねにより挑戦し成果を出した」と胸を張る。

大きな可能性を秘める同社だが、実績はこれからという段階。「5%、10%性能アップするというと、すごいねと褒められる。ところが2倍、3倍にパワーアップするというと、大ボラ吹きだと信じてくれなくなる」(鈴木会長)といったこともあり、事業化まであと一歩の足踏み状況が続いている。

足踏みから抜け出すきっかけになりそうなのが水車だ。同社は現在、東京大学との産学連携により、波力発電のための水車を開発中。もちろん、独自開発した"先太翼風車"の応用形となる。水と空気のエネルギー密度の違いから、水車では翼の長さが風車の10分の1で同じ出力が得られるという。そのため、まず、コンパクトな水車が実用化され、水車に引っ張られて風車が普及するという流れが期待できそうだ。

鈴木会長はここへきて講演に引っ張りだこ。ベンチャー関連はもとより東大、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、防衛省が主催する会でも、自社の技術・製品の斬新さを語り、聴講者をうならせる。「勉強してからやろうとすると何もできなくなる」「知識がないから、すべて実験で確認した」という鈴木流が、広く世に受け入れられる日は遠くない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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