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2004年の記事

 

 

 

 

(株)福光屋

 

伝統を踏まえつつ、時代の風にしなやかに対応
業種:酒蔵
(株)福光屋

「お客様も時代も社会も変わる。どうしたら今のお客様に気に入られるかを続ければ伝統になる。根本の姿勢を守りつつ、しっかりと変化もしていくこと、この二つだと思う」と語り、“伝統とは革新なり”を地で行くのは、北陸の老舗酒蔵、「(株)福光屋」(石川県金沢市、従業員120名)の福光社長。

同社は江戸は寛永2年(1625年)の創業。金沢では最も長い歴史と伝統を誇る酒蔵である。代々受け継がれてきた家訓は「伝統は革新の連続である」。いかにも、職人魂を貫きつつ、時代の変化をしなやかに受け止め、その時代、その時代の人々に合う酒を送り出してきた酒蔵らしい。

日本酒業界は需要が伸び悩む中、シェア確保に走る大手の低価格攻勢が激しくなっており、品質重視の北陸の地酒との価格差も益々広がっているという。現在、市場に出ている日本酒の約9割は、醸造用アルコールを添加したものだが、同社はコスト増となっても味の違いで顧客をつかむ路線を選択、2001年から全ての製品を純米酒に切り替えた。コスト増は間接費の抑制で吸収し、販売価格は据え置く戦略に出ている。

お酒以外の“新規分野”進出にも意欲的だ。昨春から純米酒を原料にした化粧水と美容液を発売したのもその一つ。95年から美肌効果のある酒を販売していたが、酒販免許がない店でも販売できる製品を開発したことで、一気に販路を百貨店やドラッグストアなどに拡大しつつある。酒造業界では「日本酒を造る杜氏は肌がきれい」と言われてきたことに基づく商品化である。この他、ノンアルコール清酒や、酒風呂用の酒などの研究開発、商品開発も進めている。また、本社に直販店を開いたのに続き、東京・銀座にも2店目の直販店を開設している。

「しかし・・・。」と福光社長。「新規事業といってもあくまでも酒が中心。酒を知ってもらうためのもの」と強調する。酒を飛躍させない新規事業など社長の頭には無いのである。同社にとっては、伝統分野、すなわち酒造部門の絶えざる革新こそが最優先課題なのだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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