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(株)スペック

■「生の海苔を冷凍技術で長期保存」

業種:生の海苔の販売
(株)スペック

「海苔の食べ方で一番美味しいのは獲れたての生を食べること」と海苔漁師から聞いたとき「でも不思議だ。世の中に出回っているのはほとんどが加工海苔。一般の多くの人は生を食べたことがない。なぜ生の海苔が流通していないのか」―(株)スペック(徳島市)の田中達也社長はこう考え、重ねて尋ねた。その漁師は「生の海苔は細胞が繊細で、冷蔵でも3日ともたない。冷凍保存などとても不可能だ」と。

こんな問答をしたのは今から2年ほど前。その時から同社長は生の海苔を世の中に出したくて冷凍保存技術の研究開発に乗り出した。同社の本業は、食品メーカーから食品の検査・分析依頼を受け、衛生管理指導や新商品開発などに関する技術相談を行うのがメーン。言わば「食のお医者さん」(田中社長)。会社の前身は父親の田中義則会長が興した臨床検査を行う衛生検査所で、「食」に関する検査・研究も得意分野である。

冷凍保存技術の研究は自社の設備、ノウハウを活用して行った。さまざまな試行錯誤を繰り返した末に昨年2月、冷凍プロセスに、ある複数の技術を組み合わせることで生きたままの海苔を冷凍保存できることをようやく突き止めた。

マイナス18度C以下で1年間も冷凍保存でき、しかも流水解凍するだけで簡単に食べられる。解凍すると2倍程度に膨らみ、細胞が生きたままの生の海苔が目の前に新鮮に広がる。食べた人からは「海をまるごと食べているみたいで、磯の風味が香るとよく言われる」(同)と味には手ごたえを感じている。

同社は商品を自ら開発し販売するという経験はまったくなかったが、この事業で国の地域資源活用事業の認定を受け現在、全国の商談会などを通じ食関係のバイヤーらと商談を重ねている。同社長は今後の方針について「地元の隠れた一次産品を見出し、これを全国区の商品として販売するお手伝いをしたい」との抱負を持つ。現在41歳の若い経営者が地元に愛着を持ち、地域の活性化に注力する姿に共感する向きは多いだろう。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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