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(株)アイピー・フロント

■「中国ウルムチ市出身者が、日本発IoTで世界に挑む」

業種:ITソリューション他
(株)アイピー・フロント


「世界で一番、海に遠いところから来ました」と、自己紹介で意表を突くのが、ITベンチャー、アイピー・フロント(東京)社長の余東さんだ。その余東社長は20数年前に来日し、約10年前に起業した。現在は、IT業界で最先端のテーマとなっている「IoT(インターネット・オブ・シングス=モノのインタ−ネット)」に事業の照準を合わせ、日本国内はもとより海外市場も開拓しようと張り切っている。

中国科学技術大学で電子工学を学んだ余社長は、中国科学院電子学研究所に2年間ほど在籍した後、1992年に来日し、何社かの日本企業に勤めた。その間、日本のビジネス慣行などを学び、また、日本に帰化して、2005年、各種システムの開発や保守・サポートなどを手掛けるアイピー・フロントを設立、今日に至る。余社長は同社の10年近くの歩みを「ゆっくりとだが着実に技術を磨き続けてきて、顧客の信頼を得てきた」と振り返る。

今、同社が力を入れているのがIoT関連の取り組みだ。あらゆるモノがインターネットにつながり、ビッグデータといわれる大量、多様、そしてホットな情報の処理が価値を生む時代を見据えて、そんな新時代に欠かせない多種多様なIoT端末の製品化に乗り出した。簡単なカスタマイズ(作り変え)だけで、さまざまな端末がつくれるIoTプラットホームを開発済みで、低コスト、スピーディーな製品化が実現するとして、多方面への売り込みに拍車をかけている。

同社ではIoT端末の用途、需要先として、HEMS、FEMS、BEMS=住宅(ホーム)、工場(ファクトリー)、ビルの各エネルギー管理システム、車載端末、植物工場やロボットの制御などを見込んでいる。すでに、HEMS向けIoT端末は量産段階に入り、引き続き、FEMS、BEMS、車載端末…の順番で取り組むといったロードマップを描いている。「DOS/Vがパソコンの標準規格として広まったように、我々のプラットホームをIoTの標準規格として普及させたい」(余社長)と大きなビジョンも描いている。

現在の同社の陣容は、東京で20人、中国の大連、深セン、合肥の各市を合わせて20人の総勢40人ほど。「引き合い案件が毎日、舞い込んでおり、対応できない状況」(同)ということで、ベトナムに開発センターを開設するプロジェクトを進めている。日本発のIoT端末を世界市場へ売り込むプランも練っている。海から一番遠い地から来た余社長が、七つの海を股にかける日も、そう遠くないようだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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