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元気な企業(最新)

2006年の記事

 

 

 

 

株式会社大河

 

第二創業に踏み切った老舗のお米屋さん
業種:米穀商、調湿材販売
株式会社大河

京都はベンチャーから発して大を成した企業が多いことで知られる。ベンチャースピリットを尊重する気風を持つ土地柄だ。ここにまた新しい夢を追ってスタートしたベンチャーがある。独自の特性を持つ調湿材を皮切りに旗揚げした株式会社大河(京都市伏見区、阿部富士男社長)がそれだ。

たいが。未来に期待がこもる大きな名だ。名が大きいだけの土台が同社にはある。第二創業型のベンチャー企業なのだ。親は、創業1717年、 300年に迫る歴史を持つ米穀商の永松(京都市下京区)。少々な老舗ではない。実は阿部社長、こののれんの16代目。しかし伝統に埋没していない。コメ市場に対する危機感を持っていたのだ。将来、米穀の輸入が完全自由化になれば、看板が立ち行かなくなるとの懸念を抱いていた。第二の創業に挑む、という阿部社長の決意の中で、2004年、大河は創業された。

選んだのは、調湿材。吸・排水機能を持ち、復元力も備えた独自の調湿材を市場に押し出した。もともと、永松が加工米飯事業で押しずしなどの鮮度保持のために開発してきた素材だ。永松、京都市の株式会社NTT西日本−みやこ、同志社大学の太田哲男教授、藤井繁信講師が産学共同で開発。湿気を吸収するだけでなく、可逆的に放出もでき、これまで課題となってきていた吸水後の調湿材の膨張や放出した水のべたつきを無くした。吸湿時に温度を下げる効果や吸収効果も合わせ持つ。大河はこれらの特徴を生かせる用途開発を進め、2006年4月、NTT西日本−みやこと組み、ICタグを搭載した調湿材付き通い箱レンタル販売事業「ニュークールおかもち便」を立ち上げ、物流業界を中心に販売に踏み切った。

阿部社長の気宇は壮大だ。「調湿材で、砂漠緑化、国内林業の活性化、物流革命に取り組む」とロマンをはせる。開発や実験への賛同者も増えている。もちろん多様な用途開発もカギとなる。おかもち便の一方で、調湿シート「京ここちいい」を商品化、「ぐっすりシート」と銘打ち、寝ている間にかく汗を吸い取る「快眠シート」として一般市場にも売り込み始めた。もちろん、お得意のお米の販売も重要メニューだ。ネット販売にも怠りなく取り組む同社が、京都の気風を追い風に順調に羽ばたくか否か、正念場にさしかかってきている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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