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2007年の記事

 

 

 

 

 

株式会社建設システム

 

■現場から生み出した土木管理ソフト

業種:土木施工管理ソフト開発
株式会社建設システム


現場の苦労を知らずに経営ができるか!とは、トップの教訓としてよく指摘されることだが、現場、それも土木施工の現場管理の苦労をなんとか効率化できないものかと管理ソフト開発に取り組み、いまや見事にソフトビジネスを軌道に乗せたIT企業がある。株式会社建設システム(静岡県富士市、栗田富夫社長)がその企業で、経済産業省の18年度情報化促進貢献情報処理システム表彰で、主力商品である土木施工管理システム「デキスパート」が表彰を受けるという大きな励みも得て、ますます意気盛んだ。

株式会社建設システムの設立は1992(平成4)年、創立15年のまだ若い企業だ。若いIT企業というと、さっそうと六本木でも闊歩するトップをイメージしがちだが、そこは栗田社長、それとは一味もふた味も違った現場で鍛えられた風雪を感じさせる骨太のトップだ。栗田さん、1974(昭和49)年、建設省建設大学校を卒業、自ら「土木の技術屋」と称する。沖縄開発庁南部国道事務所や旧建設省沼津工事事務所などへ7年ほど出向、「役所側の代行で国の公共事業の現場で施工管理する」仕事を重ねた。現場は「当時、危険、汚い、きついの3Kの典型」。昼は現場監督を行い、夜は図面修正、設計変更による数量計算、提出書類の整理、写真の整理等々、目の回る忙しさ。年度末ともなると徹夜に及ぶ日も少なくなかった。「官」と「民」の両方の苦労が見えるポストを経験しただけに、土木施工業者の煩雑で大量の書類管理や施工管理業務をなんとか効率よくできないかと痛切に思った。これが栗田さんを、土木施工管理のシステムの開発・販売会社起業に向かわせる大きな動機となった。

土木業界に革命を起こし、施工管理の仕組みを変えるのだ。熱情は山の様に高まった。が、現実は甘くなかった。当初は営業に行っても受け入れてもらえず門前払い、話も聞いてもらえない日々が続いた。倒産寸前の苦境も味わった。「危機を乗りきれたのは、新しい時代をなんとか切り開くのだという熱い気持ちがあったから。あきらめなくてよかった」としみじみ振り返る。

現在、「デキスパート」をはじめ約30種類のシステム商品を開発・販売し、全国に1万9千社のユーザーを持つまでに発展。当初は5名だった従業員も180名を越え、売り上げも順調に伸ばしている。同社では、毎朝、始業時に全員で職場の一斉清掃を励行している。「おかげで業績も上がっています。業績落とせませんから、全員清掃やめるわけにいかなくなりまして」と苦笑する栗田社長、「職場を磨くとともに、心も磨くように」と創業時の苦労を忘れていない。        




著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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