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2006年の記事

 

 

 

 

手づくり菓子工房みかもん

 

■町の小さなケーキ屋さん、クリスマスを前に大忙し
業種:洋菓子店
手づくり菓子工房みかもん


徳島県東みよし町にある小さな洋菓子店がクリスマスに向けて活気に満ちている。お店の名前は「手づくり菓子工房みかもん」。平成14年に地元の主婦4名が結成した店である。

東みよし町は、「水の丸イチゴ(夏秋イチゴ)」の産地として知られている。水の丸イチゴは断面がルビーのような鮮やかな赤色を放つことから、主に関西の高級洋菓子店へ出荷されている。その反面、色や形が不揃いであるため出荷されない「規格外品」の利用方法に頭を抱えていた。平成14年、町がこの規格外品の商品化に取り組む研究会を立ち上げ、デザイナー、フードコーディネーターといった専門家を交え、平成15年7月に創業を果たす。

しかし「主婦」という法人格を有しないグループの創業には多くの困難が待ち受けていた。融資は難しく、また、目を家庭に転じれば「(取り組みそのものへの)夫の反対」、「(同居人等の)病気や介護で継続不能」といったことからメンバーが去ったこともあった。こんなとき彼女たちの強い味方となったのが三加茂町商工会の中山元奈経営指導員である。中山氏は同じ主婦という立場に立ち、かつ、経営指導員としての経験を加味することができれば、主婦の強みを最大限に引き出したビジネスモデルを構築できると確信していた。

そんなある日、「誰が責任者なのか?」「誰を責任者にするのか?」という話題になるとそれ以上に話が進まなくなっていたことに中山氏はふと気づく。この状況を打破するために平成18年5月に改正を予定していた会社法の利用を思いつき、早速、施行日に申請を行う。合同会社(有限責任会社、LLC)とすることで4人の出資者は全員が「業務執行社員」となり、同じ権利、同じ職責、同じ役職となった。4人が平等であるという意識が主婦達の心を一つにまとめ、当社は成長段階へと一気に駒を進めた。

一時、県内初のLLCということで注目を集めた当店であるが、中山氏はそんな時流に惑わされることなく、経営改善普及事業、さらに、出張時等に時間を見つけては取引先小売店等へ足を運び、販売現場から得た商品改良のヒントを4人の主婦たちに発し続けている。地産地消、特産品開発といったテーマとする活性化事例は数多いが、「規格外品」、「主婦」といった見過ごしがちな地域資源を事業化できる経営指導員の存在も忘れてはならない。 


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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