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2007年の記事

 

 

 

村田発條株式会社

 

■「性能を売る」老舗のバネメーカー

業種:バネメーカー
村田発條株式会社


バネメーカーは社名に「発条(発條)」と付くところが多い。なぜ「発条」と書いて「ばね」と読ませるのだろうか。発は「撥ねる」である。「はねる」が変化して「ばね」になったようだ。条は「細くて長いもの」を意味する。「飛び跳ねる細くて長いもの=ばね」というわけだ。ところが、発条と書いて「ぜんまい」という読みもある。これはシダ科の植物の「薇(ゼンマイ)」が語源らしい。確かに「ぜんまい」の頭部と機械部品の「ぜんまい」はよく似ている。

村田発條株式会社(栃木県宇都宮市)は圧縮コイルバネ、引っ張りコイルバネ、薄板バネなどを手がけるバネメーカーの老舗だ。同社は1913年に創業、あと数年で100周年を迎える。自動車メーカーを中心にエレクトロニクス業界などに様々な形状や大きさのバネを供給している。この間一貫して「性能を売る」(村田一朗社長)ための努力してきた。

自動車用バネは多岐にわたる。サスペンションばかりでなく、エンジンバルブの開閉部分などに弁バネが使われている。弁バネは1分間に数千万回の伸縮運動を繰り返しながら100万キロの走行に耐える必要がある。この耐久性に加え、エンジンの基幹部品の一部と言うこともあり耐熱性が求められる。「性能を売る」という言葉も頷ける。

同社は、検査でOKになった部品であっても、何かのはずみで床に落ちたものは即刻不良品として廃棄処分するほど品質にこだわっている。落ちたはずみでその部品に不具合が生じる恐れがあるなどのためだ。品質検査も独自に開発した検査装置を用いて最終チェックする。こうした品質へのこだわりが評価され、米国の大手自動車部品メーカーのイートン社から、優秀サプライヤーとして表彰されたほどだ。

今でこそ知られるようになってきた卵型断面の弁バネは1986年に同社が世界に先駆けて開発・量産化したものだ。卵型バネは円型バネに比べ、隙間が広くなり、ストロークが増す。しかも応力が強くなる分、機器の小型化が図れる。卵型という形状が故に、力の分散が可能になり、より耐久性が高くなるなどのメリットもあるという。この卵型弁バネはゼネラルモーターズ(GM)の目にも止まったほどだ。

普通トラック向けの弁バネでは国内100%近いシェアを誇っている。品質を作り込むために、技術開発に取り組むという循環ができあがっているだけに、同社にとって「性能を売る」ことは「品質の追求」とイコールだと思われる。「モノ作りは人作り。技術屋を育てることで良い製品が生まれる」という村田社長の言葉には説得力がある。

                      


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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