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2009年の記事

 

 

 

大阪精密機械

 

匠の技と最新技術の融合が新事業生み出す

業種:歯車専用精密測定機の開発
大阪精密機械

歯車は紀元前から存在していたという。当時は鋳物などとならびハイテク製品だったに違いない。主に小さな力を大きな力に変え、力の移動をスムーズに行うための道具に用いられていたらしい。さらに、回転運動を直線運動に変えるツールにも使われたし、ウォームギア構造の巻き上げ機もあったというから、生活の重要な部品だったのだろう。木製からスタートした歯車がどんどん進化し、今ではマイクロマシンを構成する重要な部品になっている。

大阪精密機械(大阪府東大阪市)は戦後の歯車技術を支えてきた企業であり、歯車メーカーにとって不可欠な企業だ。職人の勘に頼っていた歯車の加工精度を測定機器により均一化した。同社は「歯車専用精密測定機のパイオニア」と自負している。昭和45年に「一歯面かみあい試験機」の開発を皮切りに、「コンピュータによる自動形状測定器」、「歯車解析機」、「電子創成式歯形・リード・ピッチ測定機」などを次々に送り出した。

この結果、歯車の精度は飛躍的に向上、歯車業界から高い評価を受け、今では歯車測定機分野では国内シェアの80%以上を持つトップメーカーに成長した。同社が開発したNC歯車測定・評価システムは世界標準となり各国で数多く使われている。しかも歯車の小型化、精密化が進んだ結果、製造時の測定が益々重要になっている。ユーザーから求められるのはマイクロメートル単位での測定精度と、大量生産に対応できる測定スピードだが同社の製品はこれらをクリアしている。

こうした測定機を開発するには先端技術と、長年に培った職人の技が融合しなければならない。職人の技の一つが「キサゲ加工」である。キサゲ加工は専用工具により測定機駆動部の摺動(しゅうどう)面を仕上げるために用いられている。平面研削盤では0.003ミリメートルという精度が限界といわれている中で0.001ミリメートルを実現している。匠の技ともいえる技能であり、同社の職人は「現代の名工」にも選ばれている。

こうした中から「校正機関事業」が生まれた。製品評価技術基盤機構から歯車の校正機関として認定された。そこで、工場内に「歯車測定センター」を開設、品質データを保証する事業を開始したもので「歯車メーカーの販路拡大に役立ちたい」(吉岡功二社長)との意向を強く持っている。当然のことだが、測定機はすべて同社製だ。歴史に裏打ちされた匠の技と最新技術の融合により、歯車業界に無くてはならない存在になっている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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