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パイフォトニクス(株)

■「オンリーワンのLED照明で光の新事業を展開」

業種:LED照明の開発
パイフォトニクス(株)

平成26年、中村、赤ア、天野の3氏がノーベル物理学賞を受賞したのは「LED照明につながる青色LEDの発明」によるものだった。そのLED照明の“進化形”を世に問うために会社を興した人がいる。元浜松ホトニクスの研究員、池田貴裕氏さんで、9年前、パイフォトニクス(浜松市)を立ち上げ、「ホロライト」と名付けた特殊なLED照明装置を多種多様なシーンで活用できるようにした。「安全、安心、面白い。新しい光の使い方を提案していく」(池田社長)という同社事業には、製品の一つ「ホロライト・レインボウ」が作りだす虹色の光のような輝きが感じられる。

ホロライトとは、高輝度LEDを光源とし、太陽光線と同程度の疑似平行光を小型軽量の筐体から発生するLED照明装置の呼称。「空間にさまざまなパターンを形成できるオンリーワン製品」(同)であり、直進性に優れ、拡散しない光を発することができるのが大きな特徴。8年前のホロライト作製以降、ホロライト関連技術・製品に磨きをかけ、また、シリーズ化に拍車をかけて、現在、その使い道は驚くほど多岐にわたる。

ガラスや金属の表面検査・異物検査、道路のガイドライト(ライン照明)、クレーンやフォークリスト作業時の危険ゾーン表示ライト、建物のエコ照明、国際光年記念式典・レコード大賞をはじめとする各種イベントでのショーアップ、アーティストの作品制作、観光施設やパーティー会場での演出(アーチ状の虹を投影)…。逗子海岸の押し寄せる波をライトアップした光プロジェクト「NIGHT WAVE」は「神秘的、幻想的でお薦め。動画サイトにアップしているので、多くの人に見てほしい」(同)

池田社長は浜松ホトニクスに続いて米マサチューセッツ工科大学、光産業創成大学院大学で研究生活を送り、平成18年(2006年)、浜松ホトニクスのバックアップのもと、パイフォトニクスを設立する。長年の研究テーマはログラフィー(光技術を用いた3次元情報の表示・測定・処理)で、同社はホログラフィー関連事業で立ち上がったが、ひょんなきっかけから疑似平行光の作製に成功。池田社長は、その有効性と事業性を確信し、ホロライト=疑似平行光に事業の重心を移して今日に至る。

起業実践で得た哲学=人生とは経験に基づいた運命と、夢や希望で変わる未来がある−自社のホームページでこう述べる池田社長は、独創的で面白い、新たな光の使い方に夢と希望を見いだした。ところで、昨年に続く日本人受賞となった今年のノーベル物理学賞では、浜松ホトニクスの製品が心臓部を担うニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」が受賞に多大な貢献をした。昨年、今年のノーベル賞と因縁浅からぬ池田社長は、面白さ全開で、いつの日かイグノーベル賞に輝くかもしれない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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