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2006年の記事

 

 

 

 

 

プリンス電機株式会社

 

■省エネ化に徹して活路を拓く蛍光灯メーカー

業種:蛍光灯メーカー
プリンス電機株式会社

今日、照明器具の主流は蛍光灯だ。欧米に比べても、日本の蛍光灯の使用量は住宅用、業務用とも図抜けて多い。多消費多種類製品なので、大中小のメーカーがしのぎを削る競争の激しい製品市場だが、照明器具専業のプリンス電機株式会社(横浜市鶴見区、寺嶋之朗社長)は、省エネ蛍光灯を大看板に利用分野を開拓して安定成長を続け、キラ星の存在感を示している。

同社が特異性を発揮しているのは、百貨店やスーパー、コンビニなどの冷蔵冷凍ショーケースに使用される棚下灯。その製品の約70%は同社製品だ。最大の特徴は一般製品の約半分の細さ(管径15.5ミリ)にある。ガラスの使用量を半分以下に省資源化したうえ、発光効率の高い高周波点灯方式を採用して一般製品と同じ明るさを維持し、長寿命化も達成した。細く、明るく、省エネ効果が高い「スリム蛍光ランプ」は直ちに評判となって住宅用や看板照明用にも利用範囲を広げた。04年から05年度にかけては環境省や省エネルギーセンターなど公的機関から相次いで表彰を受け、そのことが製品普及に拍車をかけることにもなった。

わが国で蛍光灯市場が急拡大し始めたのは1950年代。その当時から大量生産・大量販売の大手メーカーが高いシェアを占めるが、同社は1958年の創業以来、照明器具のニッチ市場を狙い、小回りの利く専業メーカー経営を持ち味としている。特に、ユーザーニーズの厳しい業務用分野で技術力を磨き、省エネ化に徹した製品開発を進めてきた。同時に、省エネ製品づくりに対応した専門工場を設けて、低コストな生産ラインを整え、大手に対抗できる専業メーカー体制を軌道に乗せた。その戦略商品が「スリム蛍光ランプ」で、さらに省エネ化した新製品を加えて、蛍光灯市場に旋風を巻き起こす勢いにある。

日本の電気使用量の15%は照明用だから蛍光灯に対する省エネ要請は強い。そのことを背景に、同社は製品普及を通じて地球温暖化防止に貢献しようと、環境省が提唱する国民運動「チーム・マイナス6%」にも積極的に参画するなど、新たな省エネ経営を展開し始めた。製品づくりや市場戦略に新味を出す作戦とか。専業メーカーの次の舞台を見てみたい。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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