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2009年の記事

 

 

 

三和鋲螺製作所

 

多品種のネジ生産で地位確保

業種:ネジの受注生産
三和鋲螺製作所

「多品種・少ロット」生産に適応できない中小企業は、まず生き残れないのが現代のもの作り。しかもその中で、技術の独自性を発揮して「自分たちにしか作れない」製品を納期厳守、不良品ゼロといったパーフェクト納入をすることが求められている。そのためには水準以上の生産技術はもちろんのこと、受注から納入まで質の高い経営管理体制を敷いておく必要がある。

三和鋲螺製作所(東大阪市)は、特殊サイズや特殊形状を含む多品種のネジの受注生産で確固とした地位を築いている。工場では約1500種類に上るネジ生産を行い、自動車、建築、弱電、医療・介護の各分野に供給している。ネジ生産はもの作りの原点を極める分野とも言え、特に同社の場合、ネジが多品種にわたるため技術だけでなく製品企画、設計、材料調達、生産計画、納品などの一貫した流れをしっかりコントロールしないとうまくいかない。

これをきちっと長年にわたってやり続ける企業が、「力のある企業」と評価され、いつまでも生き残っていける。昨今顕在化している材料調達難問題にしても「力のある企業にしか(材料が)回ってこない」(樫本宏志社長)厳しい状況にある。そこで同社は、より強い企業を目指すため、(1)不良品ゼロという究極の品質保証を維持すること、(2)「毎年、売り上げの10%は新製品で占める」(同)ことにチャレンジしている。

同社の強みは、「IT」を駆使した生産管理体制と「人作り」への投資。職人の勘や経験だけに頼らず、注文から納品まで一括してコンピューターで集中管理する独自のシステムを確立している。また、特殊品の生産や材料の履歴管理なども効率的に管理し、営業マンも顧客先でノートパソコンを使って提案営業を行う。外出先からでも工場のリアルタイムの現場映像や、製品の加工過程をアニメで見てもらう販売支援ツールも活用する、などと徹底している。

人作りに関しても半端な投資ではない。1992年に「活学館」と名づけた独自のセミナー施設を開設、昨年6月からは生産現場を活性化するリーダーを育成するための技能伝承活動「三和鋲螺テクノスクール」を開催。若手・中堅技能者4人を選抜し、一流技能を持つ外部講師を招き週1回半年間、みっちりと学科、実技の指導を行う。また「金型や転造といった専門技能でも当社らしい研修を立ち上げる」(同)と言い、人材育成に意欲的に取り組む。「独自のもの作りシステムと社員教育の充実」―同社はまさに中小製造業の原点を地で行っているといっても過言ではない。 


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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