東京総研トップへ

元気な企業(最新)

2013年の記事

 

 

 

正和電工(株)

■「"水要らず"のバイオトイレを世に問う」

業種:バイオトイレの研究開発
正和電工(株)


トイレの最近のトレンドと言えば、ウォッシュレットやシャワートイレの商品ブランドで知られる温水洗浄便座の普及浸透が真っ先に挙げられよう。普及率はすでに70%を超えたと見られる。一方で、温水洗浄便座の対極に位置するような「バイオトイレ」なるものの利活用が、ここへきて本格化したのも見逃せない。水の代わりにおがくずを使う、"水入らず"ならぬ"水要らず"のトイレが、国内外の潜在市場を一挙に顕在化させそうだ。

バイオトイレは便槽の中にオガクズなどを詰め込み、排泄された糞尿を、オガクズなどとともに攪拌して好気性微生物を活性化させて、分解・堆肥化する仕組み。その代名詞ともなるのが、正和電工(株)(北海道旭川市)の「バイオラックス」だ。同社は1990年代からバイオトイレに取り組み、ユニークなバイオラックス製品群はこれまでに発明や環境に関するコンテストで文部科学大臣賞、環境大臣賞、中小企業庁長官賞をはじめ数々の賞に輝いている。

現在、同社には全国各地はもとよりアジアをはじめとする世界各国からの問い合わせが相次いでいるという。「きっかけはやはり東日本大震災。水を使えない状況でも清潔に使える当社のバイオトイレへの関心が急に高まった」。橘井敏弘社長はそう語っている。アジア各国からは政府関係者などが次々と視察に訪れ、今年3月にはベトナム国鉄の幹部らが来訪した。ベトナムの車両や駅舎への導入が、早ければ平成27年に始まる見通しだ。

水が要らない。処理後のおがくずは臭いがなく手で触れるほどきれいになる。理想的な有機肥料として活用できる。こうした数々の利点から、バイオラックスは富士山、南極基地、旭川動物園をはじめ、さまざまな所で採用されている。その半面で、下水道処理区域である市街地での設置が下水道法により制限されるといったことから頭打ちの感も出ていた。

ところが、東日本大震災でがぜん注目され、昨年春には市街地の設置規制が緩和されるなど、ここへきて風向きが変わり、バイオトイレ普及に弾みがつく状況となったのだ。「これからの時代に重要な環境、介護、リサイクル、災害対策の四つのキーワードを含んでいる」(橘井社長)というバイオトイレの市場は、今、大きく広がっている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2013年の記事に戻る