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2009年の記事

 

 

 

篠田プラズマ株式会社

 

動くポスターを世に出す〜技術者から起業家へ

業種:ディスプレイの開発、製造
篠田プラズマ株式会社

世界初のフルカラー・プラズマテレビの開発者として世界でも名高い元富士通の技術者、篠田傳氏が起業を決意した。開発を進めるのはプラズマ・チューブ・アレイ(PTA)と呼ばれる薄型のフィルムディスプレイだ。基本原理はプラズマディスプレイと同じだが、薄い、軽い、曲面表示可能、大画面化可能、省電力といった、既存のディスプレイにない特徴がある。現在量産化目前の段階まで開発は進んでおり、今後、「動くポスター」として屋内の壁、地下鉄の柱、展示場、コンサート会場等に150インチを超える大画面ディスプレイが登場する可能性がある。

篠田氏が起業を決意したのは平成17年。富士通がディスプレイ事業からの撤退を決定したことが契機となる。新型大画面ディスプレイの開発を続けてきた篠田氏は、長年の間情熱をもって続けてきたこの研究を断念できず、有志6名の研究員とともに準備会社を立ち上げ、平成19年にベンチャー企業「篠田プラズマ株式会社(本社神戸)」を実質的にスタートした。

松下、シャープ等日本でも有数の大企業が多額の投資をしながら、しのぎを削るディスプレイ製造市場で、ベンチャー企業が勝負を挑むことについては大きなリスクがあると考えられる。しかしながら篠田氏には「棲み分け」による確かな事業化見込みがあった。

独立する時点で既に量産化が可能な範囲まで開発が進んでおり、今後巨額の開発費の投入が不要。また、当社の開発したPTAは「発光要素を詰め込んだ直径1ミリのガラスチューブを並べて、その両面に電極フィルムを貼り付ける」という製造原理であり、既存の薄型ディスプレイの製造で必要となる巨大な製造装置やクリーンルームが不要なのである。また、現在競争が激化している一般顧客向けのテレビ市場をターゲット市場とせず、今後需要の増加が期待される大画面での産業用屋内電子看板(デジタルサイネージ)市場や監視用ディスプレイ市場などを量産化当初の参入市場とすることで、高付加価値を維持しながら成長することが可能と考えたのだ。

篠田氏は今年61歳となるが、新型ディスプレイ開発への情熱は高まるばかり。「PTAを日本発の巨大産業に育てる」との決意のもと、篠田氏の挑戦は続いている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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