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元気な企業(最新)

2006年の記事

 

 

 

 

 

(株)シベール

 

■おいしさ追求して“小さな大企業”目指す

業種:洋菓子・パンメーカー
(株)シベール

「おいしい菓子とパンはその地方都市(まち)の文化である」。このことをモットーに、山形市を根拠地に、じっくりと全国に顧客を広げた洋菓子・パンメーカーがある。(株)シベール(山形市、熊谷眞一社長)がそれで、小さなお菓子屋さんとして旗揚げ以来40年で、いまや、県内外に22の支社、事業所、工場を持つまでに大きく発展した。しかしいたずらに大きいことを狙わず「これからもたぎる想いで小さな大企業を目指す」(同社HPより)と質の良い企業へ向かい進もうとしている。

同社の創業は1966(昭和41)年。生家の和菓子屋を継がず、仙台で洋菓子修行の後、25歳だった熊谷氏は、山形市で洋菓子店「シベール」を興した。「4坪に満たない小さな店で、年商240万円」(熊谷社長)と創業当時を振り返る。そこはアイデアマン、売り上げ増をはかるため、店のPRに力を入れ、瞬く間に年商3000万円を達成。さらに10倍へと製造にも乗り出し、仙台への店舗進出も果たすが、山形市内に多店舗展開した際には、狙いとは逆に店同士が売り上げを食い合うという苦い経験も味わった。

発想を転換する。94(平成6)年のことである。全国に向かって売り出せないか。到達したのがPIS事業(全国単品無店舗型販売)であった。すなわち通信販売だ。このPIS事業開始にあたり、目玉商品の開発に取り組んだ。その際、既存のもの、他店にあるものでなく、ありそうでないものをポイントとした。ここに生まれたのが、今日、同社の主力商品のひとつとなっているラスクフランスだ。ラスクはもともとフランスパンの2次加工品に過ぎないと、現場にはラスクでの勝負にためらいがあったのも現実。そこを時間をかけて説得、サンプル販売もまずまずであったことから、ラスクフランスに賭けた。

ラスク向けに上質のフランスパンを焼き、注文の分を毎日手作りする新鮮さが評判を呼び、ラスク通販はみるみる経営の柱に育っていった。99年にはラスク専用の製造ライン「麦工房」が稼動を始め、2004年には東京・青山、05年には大阪・梅田と大都市への店舗展開も成功させ、その勢いは株式上場に結実、今日、年商約38億円(平成17年8月期)を疾走中。小さな大企業、シベールの
文化は全国にさらにその味と香りを送り込もうとしている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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