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2010年の記事

 

 

 

大島東太郎商店

■「伝統産業も横との連携が必要」

業種:椀やお盆などの木地づくり
大島東太郎商店

全国どこにいっても歴史を刻んできた伝統工芸品がある。輪島塗、山中漆器、南部鋳物、江戸指物、美濃和紙など地域名を冠した工芸品も数多い。古くは平安時代、新しくは江戸時代にその地に根付き、脈々と受け継がれてきたものだ。国でもこうした伝統産業の育成支援をしている。ところが伝統工芸の世界は意外に横のつながりが薄いと言われる。職人は自らが作り上げた技を持っている。その技は門外不出にしたり一子相伝だったりする。

大島東太郎商店(石川県加賀市)は明治38年にロクロ木地業として創業した。その木地を用いる山中漆器は天正年間に生まれたという。同社も椀やお盆など木地づくりを手掛け、その後、漆塗りまで発展したというが、伝統を受け継ぎ4代続いている。同社の得意は、透けて見えるまで木地を削り込む技術。職人技の極致ともいえる椀などを作り出す。

「伝統工芸は分業体制が確立されている」(企画・開発担当大島太郎氏)といわれる。木地は木地師、塗りは塗師、蒔絵は蒔絵師という具合にそれぞれ専門分野に分かれている。そのため、異なった業種とは横の交流が少ないのも事実だ。しかし、だれもが「このままでは大きな発展はない」と考えている。同社は4代目となる大島太郎氏が様々な勉強会などに顔を出し、異業種の人達と交流を図っている。

中小機構が中心となっている「越の国倶楽部」への参加も「横との連携を図ろう」(同)との考えからだ。越の国倶楽部は勉強会から一歩踏み出して異業種とのコラボレーションにより新たな伝統商品を生み出そうという試みだ。「新しいものを見たり、自社の商品を他の人に違う角度から見てもらい、その意見を次の商品開発につなげる」(同)ことになる。

すでに、漆器を洋皿として商品化したり、その延長線で朝食セットとなったりと、成果が現れてきた。漆器が、和という概念から一歩前進したことになる。「人の話を聞くことでイメージが膨らんでくる。それを商品としてカタチにする」(同)わけだ。これも透き通るほどの木地加工技術があるためだが、逆に異業種の商品を見て逆提案やコラボレーションも可能になった。参加メンバーとともに和倉の老舗旅館とのコラボレーションも実現、職人の殻に閉じこもった世界から大きく踏み出したといえる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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