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2008年の記事

 

 

 

テクノラボ

 

液状プラスチックで少量多品種需要を開拓

業種:液状プラスチックを使った製品開発
テクノラボ

「少量のプラスチック部品の試作をしたい。だけど、金型代がかかるからなあ」−機械部品や医療機器メーカーなどの共通の悩みだ。プラスチック部品は、少量多品種のニーズはあるものの、簡単な組み部品でも多額の費用がかかるため、結局は試作ができないということになりがちだ。ロットが何万個というような大量生産品は海外で生産されており、国内においてはこうした細かいニーズに丁寧に応えていくことが本当は必要なのだが…。

こうした悩みを解消しようと挑戦してきたのが、京浜工業地帯の中心、横浜市鶴見区に本社を置くテクノラボ(林光邦社長)。新しい技術はもう出てこないと思われがちなプラスチック業界で、新技術開発に果敢に挑み、新風を吹き込もうとする若い会社だ。一般の材料メーカーなら少量しか使わない用途の注文については特殊材料を使ってくれないところを、同社は得意のコア技術を使って様々な機能を持つ部品を特殊な材料で提供する。

そのコア技術とは、液状プラスチック素材の選定と配合および加工技術だ。液体なので粉や繊維、他の液体などを自由に混ぜることができるというわけで、「プラスチックの質感と物性を自由自在に変えられる」(林社長)特質を持つ。そしてこの特徴を引き出し、発展させる過程で林社長が出会うことになったのが「エラストマー」と呼ばれる特殊なプラスチック素材だった。

エラストマーとは、ゴムのような柔らかい性質を持ったプラスチック。伸縮性を持つうえ加工がしやすく、人体に触れる部分でも安心して使えるという特徴がある。このため医療や介護分野で利用が進むのではないかという期待が持たれている。国内では「これを試作できる会社はほとんどないのではないか」(同社長)と言われ、同社のユニークな技術に対する評価が高まっている。

林社長は「プラスチック部品の製造方法は、金型至上主義になっている」というのが持論。このことが少量の部品製造を制約し、プラスチックの持つ様々な可能性を狭めていると言う。同社のこれまでの経営は、液状プラスチックなどを用いて未踏の地へ踏み込んでいく軌跡とも言えよう。「少量多品種に的を絞りユニークな技術で新境地を開拓する」―これは国内で生きていくモノ作り中小企業が避けてはならない共通のテーマである。技術立国ニッポンの基盤は、こうしたチャレンジに支えられていく。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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