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2010年の記事

 

 

 

TMCシステム株式会社

■「なければ困るもの」を作りたい

業種:試験機、測定機の開発・製造・販売
TMCシステム株式会社

下請から一歩進んで、自社製品の開発や販売。思いはあってもなかなか実践することは難しい。試験機、測定機の開発・製造・販売のTMCシステム株式会社(神奈川県川崎市:松本寛社長)は、昭和35年に創業、機構設計を中心にソフトウェア設計、ハードウェア設計と展開してきた。その後、平成17年まで試験機、測定機の開発ができるまで技術力を磨いてきたが、下請を脱却することはなかった。

納入先が大手メーカーの研究所や大学の研究室であり、数はあまり出ないものの、ハイレベルな製品を扱っていた。しかし、このまま、下請だけに頼っていると経営が厳しくなると考え、5年ほど前から自社開発を意識してきた。平成18年には、神奈川県に経営革新計画を提出、承認を受け、いよいよ本格的に自社開発に乗り出した。

ところが、そう簡単なことではない。今まで仕様は親事業者が決めていたが、自社で決めることになる。品質の管理も今までとは状況が異なるので品質管理システムを独自に開発した。図面の作り方も根本から変えた。安全基準に対する知見も乏しく、勉強し直した。下請と自社開発では、ノウハウが全然違っていたのだ。「一つ一つ積み重ねていくしかない」(久保田専務取締役)と、地道に前に進んだ。

下請の脱却には、顧客の新規構築という課題もある。同社は「学会」へのアプローチを行った。「学会で知ってもらい、認められれば、先が見えてくる」と考えたのだ。回路基板に微少振動を与えたときにどのように衝撃が伝わるか、また電気接点へどのように影響し、劣化するか。2億回の振動を与える実験を行った。通常のコネクタでも500万回前後で抵抗値が上昇する現象を確認し、成果を学会に発表した。

微振動と電気接点との関係については、国内にも世界にも過去に研究されている例がなかった。「ならば、この分野で何とか貢献したい」と思い、取り組んだ。少しずつ成果が見え始めている。単に自社開発、自社製造をしたい、ということではなく、「世の中で解決できていないもの、ないと困るもの、これを何とかしたい。」(同)「社会から必要とされる企業であり続けたい」そんな思いを日々胸に抱き、邁進している。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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