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2004年の記事

 

 

 

山八歯材工業(株)

 

後発ながらトップシェアを確保!人工歯メーカーの差別化戦略
業種:人工歯製造
山八歯材工業(株)

「わが社が後発メーカーの弱点を克服して高シェアを確保できたのは、小売店との直接取引、産学連携の製品づくり、中国での生産という3つの差別化戦略による」と話すのは、人工歯の主流であるレジン歯で国内トップを走る山八歯材工業(株)(愛知県蒲郡市、従業員80人)の遠山社長。

せともの産地の愛知県瀬戸市に近い蒲郡周辺は明治時代からセラミック製の人工歯製造が盛ん。その土地柄もあって昭和33年、遠山社長はたった1人で人工歯づくりに取り組んだ。後発が故に特徴を発揮しようと、セラミック製でなくアクリル樹脂製のレジン歯に参入。そのレジン歯が健康保険の適用対象になったことから波に乗り、昭和38年に同社を設立し、それ以降は後発企業の弱点を補う差別化戦略が奏功して業容は順調に拡大しつつある。

同社を支えた戦略の第1は、エンドユーザーである歯科医に近い小売業者への直接販売体制を構築したこと。問屋を省いた“中抜き”の直販ルートを開拓して生の声を反映した製品づくりに新機軸を開いた。第2は地元大学との緊密な連携体制を構築したこと。素材研究から始まって現在では強度、形状、大きさ、色合いなど約2000種のレジン歯を開発し、これら多様な製品に対する品質保証システムも他社の追随を許さない特色となっている。

さらに、同社の事業拡大に弾みをつけたのは、中国への工場進出だ。手作業が中心のレジン歯は人件費コストの割合が高いため、平成5年に中国での一貫生産体制を確立して品質向上と製造コストの低減を図った。これが経営基盤の強化にもつながり、中国生産が軌道に乗った平成7、8年頃からはレジン歯で業界トップの実績を示し、いまでは海外20カ国に製品輸出するほどの国際企業にもなっている。

今後、高齢化社会の進行が人工歯産業にとっての追い風ともなる。人工歯の市場は、ますます広がる勢いだが、そうした国内市場に加えて「2008年には製品輸出を80カ国に増やしたい」と息巻く遠山社長。どうやら同社の視線の先はこの分野の世界戦略にあるようだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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