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(株)ヤクテツ

■「太陽電池で駆動するクレーン」

業種:太陽電池で駆動するクレーンの開発・製造
(株)ヤクテツ


再生可能エネルギーが注目される中、主に造船所向け大型産業用クレーンを製造販売する中小クレーンメーカーが、太陽電池で駆動する門型クレーンを開発した。昭和43年設立で、実績豊富な(株)ヤクテツ(大分県津久見市)がその企業。「既存の電源設備を必要としない太陽電池を利用して、電力の地産地消型クレーンを製作したい」との大野好一社長の思いが具体的な形になった。

「エコクレーン」という名称で全国販売に踏み切ったのは平成23年4月。東日本大震災や円高などの影響で造船業界の設備投資が落ち込んでいる時だ。こうしたピンチをチャンスに変えて時代にマッチした付加価値の高い製品を世に問うことにより、新市場を開拓しようとの狙いだ。

津久見湾岸に本社工場があり、専用岸壁から製品を出荷する好立地にある。強みは、つり荷重130トンクレーンを製造できる技術力だ。この技術力を背景に開発したエコクレーンは出力190ワットの結晶型太陽電池パネル42枚を取り付けた。直流電流を交流に変換する変換機器も独自開発、200ボルトで駆動でき、つり荷重は3トン未満だ。

設置場所を選ばず、屋外の設置したい場所で簡単に現地組み立てし分解できる。しかも分解した製品は10トントラック1台で運べるよう工夫した。「電源がない中山間地で伐採した木材の運搬や漁船の移動など用途は幅広く、また東日本大震災の被災地復興工事にも役立てられるのではないか」という。雨天でも外部電源からの充電も可能で効率運用にも配慮する。

「新規性があって面白い」、「つり荷重5トン、10トンのクレーンはできないか」など反響は多い。ただ中小企業共通の課題でもある営業力が弱いのが悩みのタネ。このためニーズに即応し製品のさらなる改良に取り組む一方で、県内の産学官交流グループなどで販売促進をテーマに若手社員のプレゼンテーション力を高めることにも力を注ぐ。技術力を強みとする地場中小企業ならではのアイデアが実を結ぶことを期待したい。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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