東京総研トップへ

元気な企業(最新)

2013年の記事

 

 

 

(有)悠々庵

■「わび、さび、粋を世界へ発信」

業種:お香の製造販売
(有)悠々庵


世界へ広がる日本文化と言えば、漫画やアニメ、ゲームといった若者向けポップカルチャーが真っ先に挙げられよう。その一方で、独自の美意識に基づくような伝統文化も各国で広く受け入れられている。(有)悠々庵(前橋市)の手掛ける線香がその一つ。同社では「わび」「さび」「粋(いき)」の世界への発信を掲げて、欧米やアジア、中国の市場を着々と開拓しているところだ。

祈りと癒しのお線香「金木犀の香り」「鈴蘭の香り」、ほろ苦くて香ばしい珈琲の香りと、上品で優雅、ダージリン紅茶の香りのお線香「朝の珈琲」「朝の紅茶」、楽・和・寂・清・己・想をテーマにそれぞれの香りをつけたキャンドル「波動キャンドル」…。悠々庵の商品はいずれも斬新で、色も従来の色と違ってカラフル。線香業界に革命を起こしたと言われるゆえんである。

吉田可南子社長はもともとファッション業界でデザイナーとして活躍していた。しかし、当時のファッション界は海外発のデザインが幅を利かせており、受け身の仕事に物足りなさがつきまとっていた。日本発のモノを生み出す手立てはないものかと思案し模索していた折、鎌倉・小町通りの老舗香専門店に行き当たった。そのお香に魅了されたのをきっかけに、ファッション業界から香りの世界へと転身した。

吉田社長は「魅力ある商品開発が何より大切。線香の世界でも大きな会社があるので、市場を見渡して隙間を見つけることや、何を強みとして、どう強みを発揮するかを常に心がけている」と経営戦略の一端を語る。経営戦略に沿って打ち出したのが「線香の持つ仏教的なものとは異なる簡素なイメージ」「日本の美学・文化を表現し、ボーダレスな環境でも、それと分かる個性があること」など。煎じ詰めると、わび、さび、粋になるわけだ。

同社は生産委託工場を中国に設け軌道に乗せている。当初はコミュニケーションの問題で苦労させられたが「電話で話して理解してもらえなければ、画像を送る、それでも駄目ならサンプルを送るといったことを繰り返し、十分納得してもらえるように手を尽くした。徐々に考え方の溝が埋まり、今では中国製線香の品質は日本製と遜色がないレベルにまで高まっている」(吉田社長)。"クールジャパン"の一翼を担い、さらなる雄飛が期待される悠々庵である。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2013年の記事に戻る