パートを厚生年金に加入させるメリット  (2003年11月号より抜粋)  
     
 

低賃金のパートを強制加入させるというが本人にとってメリットあるか?

 

Q

パートを厚生年金に加入させるかどうか、という基準を大幅に見直すというウワサがあります。女性の年金権を確立するためと説明されていますが、パート本人は年金加入に消極的なように感じます。本当にメリットがあるのでしょうか

 

 
 

A

現在は、パートの労働時間が正社員の4分の3以上ある場合に、厚生年金
に加入させる義務が生じます。しかし、この基準を緩和し、週の労働時間が20時間以上(または年収65万円以上)なら、強制加入とする方向で検討が進んでいます。

片手間のパート等以外で働いたことのない専業主婦は、65歳に達した後、老齢基礎年金しか受給できません。

できるだけ多くの専業主婦(専業主夫も含みます)が、老齢厚生年金・老齢基礎年金の両方をもらえる仕組みになれば、それは望ましいことです。

しかし、ご指摘のようにパート本人は、必ずしも年金加入に積極的ではありません。「基礎年金だけもらえれば、それでよい。厚生年金をもらうために、保険料を払いたくない」そう考えるからでしょう。

確かに、これから厚生年金に加入して保険料を払っても、65歳からもらう老齢基礎年金は増えません。保険料を払わないと基礎年金の権利すら危ない一般のサラリーマンとは、話が違います。

しかし、保険料を払えば、相応の余得もあるのです。老齢厚生年金の場合、65歳より前から年金(報酬比例部分と定額部分)が支給されます。

女性の場合、昭和29年4月1日以前に生まれた人(今年4月以前に49歳に達した人)は、65歳より前に定額部分の年金を受け取ることができます(ただし、生年月日が遅くなるほど受給開始が遅くなり、最後の年代の場合、受給は64歳から)。報酬比例部分は働いた見返りですからもらって当然ですが、定額部分は基礎年金に見合う年金です。基礎年金部分を他の専業主婦より先にもらえるのは、大きなメリットでしょう。

 

 
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