退職した従業員の妻の国民年金の保険料(2005年7月号より抜粋)  
     
 

従業員が退職すると奥さんの年金保険料の免除がなくなるのは本当?

 

Q

嘱託社員が、次の契約更新を見送り、退職する意向です。奥さんは現在57歳なので、「国氏年金の第1号被保険者に切り替わり、保険料を納める義務がある」と説明したところ、「昔、企業で働いていて、年金の権利があるから、その必要はないはず」と反論されました。本当に、そんな特例が存在するのでしょうか。

 

 
 

A

妻が60歳未満なら国民年金保険料を収める義務あり

サラリーマンの奥さんは、国民年金の保険料を納めなくて済むといいます。これは大部分の専業主婦が国民年金の第3号被保険者に該当するからです。(妻の年金保険料が免除されているわけではなく、第2号被保険者である夫が妻の年金保険料をいっしょに払っているわけです。)主婦であっても第1号被保険者になるケースもあります。

第3号被保険者の定義は、「第2号被保険者(厚生年金等、被用者年金の被保険者)に生計を維持される配偶者で20歳以上60歳未満の者」です。ですから、夫が退職し、第2号被保険者でなくなれば、その前提条件が崩れてしまいます。

退職しなくても、夫が65歳に達し、老齢基礎年金の資格を取得すると、厚生年金の被保険者資格は継続しますが、第2号被保険者でなくなってしまいます。この場合も、妻は第3号被保険者の資格を失います。

夫の資格喪失当時、妻が60歳未満なら、国民年金の第1号被保険者になるので、妻自身が市町村に届け出る必要があります。第1号被保険者となれば、国民年金の保険料を納める義務が発生します。

お尋ねにある嘱託社員が、「妻には年金の権利があるから、加入しなくてよい」といっているのは、第1号被保険者の定義のただし書きに「被用者年金各法に基づく老齢・退職年金を受けることができる者を除く」とあるのを誤解しているのでしょう。

奥さんの在職期間が長く、厚生年金の被保険者期間だけで、老齢厚生年金の受給資格を満たしているとします。それでも、現在、女性の老齢厚生年金(特別支給)の支給開始は60歳なので、それまでは除外対象となる「年金を受けることができる者」には該当しません。

 
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