定年と厚生年金の資格得喪 (2006年4月号より抜粋)  
     
 

定年を62歳に引き上げても厚生年金の資格得喪の対象になるか。

 

Q

改正高年齢者法に対応するため、今年4月から定年を62歳に引き上げ、それ以降は再雇用で対応する方針です。この場合、厚生年金の資格得喪ですが、62歳で実施できるのでしょうか。60歳定年時のみの特例という未確認情報もあるので心配です。

 

 
 

A

定年が60歳以外に設定されていても資格得喪は可能

高年齢者法では、60歳以上、段階的に継続雇用の最低年齢を引き上げるよう要請していますが、定年を60歳に据え置くこと自体は差し支えありません。ほとんどの企業は、60歳以降の再雇用・雇用延長制度の整備という形で、法改正に対応するとみられます。しかし、ご質問にあるように、定年を少し引上げ、その後、再雇用等でつなぐという方法を採るのも、立派な選択です。

再雇用後は、賃金が大幅に下がるのが一般的ですから、在職老齢年金の計算を有利にするためには、随時改定ではなく、資格の同時得喪というスタイルを採るのがベターです。

同一の事業所で1日の空白もなく雇用が継続する場合、たとえ社内的な身分の変更があっても、厚生年金の資格は継続します。正社員からパートへ転換するパターン、あるいはその逆のパターンでも、通常は、資格得喪の手続は認められません。しかし、次の条件を満たすときは、資格得喪という方法を選択することもできます。

  • 特別支給の老齢厚生年金の受給権者(未請求者を含む)である場舎
  • 平成8年5月31日以降の定年退職者で引き続き再雇用されている場合

条件を満たすか否か確認するため、申請時には、被保険者資格取得届に定年退職であることを確認できる書類を添付します。たとえば、就業規則・退職辞令の写しなどが代表例です。

定年後、引き続き再雇用されるという条件に合致すれば、60歳定年でなくても問題ありません。62歳定年が制度化されていれば、申請可能です。

 

 

 
  労務相談と判例> 厚生年金、国民年金の相談

Copyright (C) 2006 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所