年休を半日だけ「時季変更」 (2006年5月号より抜粋)  
     
 

丸一日の年休申請に対して半日だけ「時季変更」できないでしょうか?

 

Q

子供の通院等に付き添う場合、当社では半日年休制度の利用を推奨しています。仕事が忙しい時期に、従業員が全日の年休を請求してきた場合、半日分だけ「時季変更権」を行使して、半日年休にするよう命じても差し支えないでしょうか。

 

 
 
 

会社は強制はできない

労働基準法第39条で定める年次有給休暇は、一労働日単位で付与するのが原則です。時間単位の付与を認めると、従業員が年休を請求してきた場合、事業主が「その理由を聞いて、必要な範囲内で、細切れの年次有給休暇しか与えない」という弊害が懸念されるためです。このため、長年、労働行政では、年次有給休暇の分割を認めていませんでした。

しかし、時間単位の付与は、労働者にもメリットがあるという声が根強いのも事実です。

このため、厚生労働省の研究会が今年1月にまとめた「今後の労働時間制度に関する研究会報告」のなかでも、「急に子供の送り迎えや親の介護が必要になった場合など、1、2時間程度の休暇が必要になる場合もある」と指摘しています。そのうえで、「時間単位で年次有給休暇を取得できる上限日数を定める」など一定要件を満たすことを条件に、規制緩和を実施するというアイデアを示しました。

それはともかく、現行の扱いはどうなっているかというと、まず昭和63年に、「半日単位で付与する義務はない」(昭和63年3月14日基発第150号)という通達が出され、「半日単位の請求があっても会社が認める義務はないが、半日単位で付与しても違法ではない」という解釈に改められました。

さらに平成7年7月27日に出された基発第33号通達では、もう少し具体的な考え方が示されています。同通達では、「労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない範囲で適切に運用される限りにおいて、問題がないものとして、取り扱うものとする」と述べています。

ですから、半日休暇制度を設けることは、法的に何ら問題ありません。しかし、半日単位で年休を与える規定を創設したからといって、自動的に半日単位で時季指定権を行使できると考えるのは、誤りです。

前掲通達でも、「1日単位の年次有給休暇の時季を指定しているにもかかわらず、これに反して、使用者が半日単位で年次有給休暇を賦与することはできないものであることはいうまでもない」と念を押しています。

お尋ねのケースでは、「半日単位の年休利用」を打診し、本人が同意して、年休の申請内容を変更すれば、もちろん違法性は生じません。しかし、現段階で、無理強いはご法度です

「今後の労働時間制度に関する研究会報告」を踏まえ、今後、厚生労働省がどういう方向性を示すのか、注視する必要があります。

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