加重労働時の面接指導の義務 (2006年5月号より抜粋)  
     
 

産業医の選任義務のない会社でも過重労働時の面接指導を実施すべきか?

 

Q

労働安全衛生法が改正されて元平成18年4月から、遇重労働が発生したときは、医師による面接を実施しなければならなくなったと聞きます。当社は、50人未満で産業医を選任していませんが、それでも面接を実施しないと、法違反になるのでしょうか。

 

 
 

A

平成20年4月から強制義務

先に結論をいうと、労働安全衛生法の施行は基本的に18年4月1日ですが、加重労働発生時の面接指導については経過措置が設けられていて、使用する労働者が常時50人未満の事業場を対象に、平成20年3月31日まで施行が猶予されています。

しかし、それ以降は、たとえ産業医の選任義務のない事業場でも、面接を実施する必要があります。現在でも、安衛法第66条の4では、健康診断実施後、「医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない」と定めています。これは、規模・業種を問わずすべての事業主に課せられた義務で、「産業医の選任義務のない事業場においては、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師等から意見等を聴くことが適当である」(平8・9・13基発第566号)と解説されています。

それでは、平成20年3月末までに、面接指導の体制を整えればよいかというと、単純にそうではありません。元々、今回の法改正による面接指導の義務化(安街法第66条の8)は、これまで遇重労働防止総合対策(平14・2・12基発第0212001号)に示された内容の一部を、法律で明文化したものです。現在でも、遇重労働が発生したとき、必要な対策を講じていないと、安全配慮義務違反を問われかねません。

それはともかく、新設された安衛法第66条の8に基づく面接指導の規定を確認しておきましょう。面接指導が必要なのは、「休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えた時間が1月当たり100時間を超え、疲労の蓄積が認められる者」(安衛則第52条の2)です。労働者の申し出に基づき面接を実施し、結果を5年間保存します。

 

 
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