平成19年4月の傷病手当金の改正 (2006年11月号より抜粋)  
     
 

任意継続被保険者の傷病手当金が廃止されたら病気退職者はどうなるか?

 

Q

現在、私傷病休職中で、健康保険の傷病手当金を受給している社員がいます。半年後には休職期間が終了しますが、それ以前に治癒しなければ、自然退職という扱いとなります。この社員は、退職後も傷病手当金を受けられますか。健康保険法が改正され、手当金の扱いが変わったと聞くので、心配しています。

 

 
 

A

退職後の継続給付は可能

改正健康保険法は、平成18年10月から段階施行されます。傷病手当金に関する改正は、平成19年4月から適用です。手当金の金額は、現在の「標準報酬日額の100分の60に相当する額」から「標準報酬日額の3分の2に相当する額」に引き上げられます。一方で、お尋ねにあるように、支給対象者の範囲も見直されました。現在は任意継続被保険者も傷病手当金を受けられますが、改正後は「被保険者(任意継続被保険者を除く)」のみが支給対象となります(改正健保法第99条第1項)。

解釈を間違えやすいのですが、任意継続被保険者の資格でもって傷病手当金を受給できなくなりますが、いわゆる「資格喪失後の継続給付」として傷病手当金を受給可能です。

すなわち健康保険法第102条では、「資格喪失日の前日までの間に引き続き1年以上被保険者期間があった者で、その資格喪失の際に傷病手当金を受けているものは、継続して同一の保険者から給付を受けることができる」と規定しています。

この仕組みについては、今回改正の対象となっていません。被保険者期間1年以上という要件を満たしていれば、継続して傷病手当金を受給できます。退職後に任意継続被保険者になっても権利は失いません。

ただし、手当の支給は「被保険者として受けることができるはずであった期間(支給開始日から1年6ヵ月)」に限られます。

現在、私傷病休職中とのことですが、退職前の期間も含め支給開始から1年6ヵ月が経過すれば、手当の支給は打ち切られます。

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