フレックスタイムと休日の振替 (2006年12月号より抜粋)  
     
 

フレックスタイム社員には休日振替の命令を出せないのですか?

 

Q

全社一斉で振替休日を実施しようとしたところ、フレックスタイム制適用の社員が強硬に反対しています。「その時期は忙しくないので、予定通り日曜に休みたい。フレックスタイム制の場合、いつ働くか会社が指定する権利はないはずだ」というのです。1人だけ特別扱いする必要があるのでしょうか。

 

 
 

A

会社の裁量事項に属し、休日の振替命令は可能

フレックスタイム制は、始業・就業の時刻を労働者の自主決定にゆだねる代わりに、1日・1週の労働時間が法定労働時間を超えても、時間外扱いしなくてもよいという仕組みです。清算期間問(1カ月以内)の総労働時間が法定枠を超えた場合にのみ、割増賃金を支払う必要があります。

お尋ねの従業員は「会社は労働時間の配分に口を出せないはず」と主張しますが、いつ出勤するかも含め、すべて労働者が自由に決定できるわけではありません。休日・休憩時間の位置は、会社が就業規則等で定めることができます。フレックスタイム制の従業員は、特定された所定労働日について、1日ごとに「自由に」始業・終業時間を決定することになります。

会社が就業規則で休日を特定したとしても、別に振替休日の根拠規定を設けておけば、休日の振替を実施することができます。その際、個々の従業員の同意は必要なく、「あらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えた場合は、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにはならない」(昭63・3・14基発第150号)という扱いとなります。

休日に1人でも従業員が出勤すれば、工場・ビルの開く錠・施錠、安全管理等の問題が生じます。フレックスタイム制の社員であっても、特段の規定がない限りは、振替により休日となった日に許可なく出社することはできません。振替により労働日となった日曜については、始業・就業の時刻のみを自由に選択できます(いわゆる「スーパーフレックス制 = 自由勤務制」なら、出勤しないことも可能です)。

▲画面トップ

 

 
  労務相談と判例> 休暇、休日の相談
労務相談と判例> 労働時間の相談

Copyright (C) 2006 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所