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派遣元の過半数代表者 (2008年12月号より抜粋) | |
派遣会社で時間外協定を結とき派遣社員も含めるか? |
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Q |
派遣会社を経営していますが、時間外・休日労働(三六)協定のことで質問があります。これまで、オフィスの正社員スタッフのみを対象に過半数代表者を選んでいました。しかし、派遣社員も対象に含めるべきだという意見もあります。現実には派遣社員を一堂に集めるのは困難で、どう対応すべきでしょうか。 |
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A |
派遣社員も対象に含める必要あり 最近、派遣労働者や請負労働者を対象とするユニオンが世間的注目を集めています。そうしたなか、「過半数代表者の選出方法がおかしい」等、意見を述べる労働者も現れているようです。 退職後、労働基準監督署に申告されるおそれもないとはいえないので、法律的にきちんとした対応が求められます。 三六協定の当事者は、「遇半数労組があるときはその労働組合、ないときは過半数代表者」です。「労働者の過半数を代表する者」という場合、どの範囲の「労働者」が対象になるのか、という問題があります。 行政解釈では、「労働基準法第36条の(時間外・休日労働)協定は、事業場に使用されているすべての労働者の過半数の意思を問うためのものである」(平11・3・31基発第168号)と述べています。時間外労働の対象外の管理職も含まれますし、正社員でないパート・アルバイトも除外されません。 したがって、派遣会社の場合には、「派遣元の事業場のすべての労働者であり、派遣中の労働者とそれ以外の労働者との両方を含む」(昭61・6・6基発第333号)という結論になります。登録だけして、まだ雇用関係にない人たちは、もちろん、含まれません。 派遣労働者の組織化(組合員化)に向けた努力が続けられているのは事実ですが、現実には、組織率は高くありません。派遣労働者も含め、事業場に過半数労組が存在する可能性は低く、ほとんどのケースでは過半数代表者が協定当事者になるでしょう。 しかし、ご質問にあるように「派遣労働者が一堂に会する」機会はほとんどありません。どうやって、適法に過半数代表者を選べばよいのでしょうか。法律的要件は、労働基準法施行規則第6条の2に定められています。
行政解釈(平11・3・31基発第169号)では、「挙手等の『等』には話し合い、持ち回り決議等労働者の過半数が代表の選任を支持していることが明確になる民主的な手続が該当する」と述べています。 持ち回り決議が可能ですから、「派遣先単位で意見を取りまとめ、それを集約する」等の対応も認められます。 派遣社員は他の事業場で働く社員を知らず、「誰を選べばいいか分からない」ケースが大半ですが、たとえば、本社の正社員スタッフ(反発があるようなら、古手の派遣社員にお願いします)が立候補し、信任を問うといった方法も考えられます。 参考:労働者代表の選出方法
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