短期アルバイトと基本手当の調整 (2010年8月号より抜粋)  
     
 

退職後に短期アルバイトの話があるが失業給にどんな影響が及ぶか?

 

Q

近く、嘱託契約を終了する従業員がいます。当社では契約を更新せず、他社就職の当てもありません。しかし、知り合いの会社で、10日ほどアルバイトしないかという話があります。10日程度なら、雇用保険の失業給付(基本手当)の受給に影響しないと思うのですが、いかがでしょうか。

 

 
 
A

受給期間が先延ばしになる場合あり

65歳に達して退職した人は、高年齢求職者給付金(一時金)の対象になります。それ以前に退職した人は、60歳代でも、一般の離職者同様、基本手当の支給を申請することになります。お

尋ねの方は、基本手当の対象になるとして話を進めます。嘱託として3年以上働いていて、契約更新がなされないときは、特定受給資格者になります。それ未満で雇止めになったとき(本人が更新を希望した場合に限ります)は、特定理由離職者になります。また、雇止めによる離職ですから、3ヵ月の給付制限はありません。ハローワーク(公共職業安定所)に求職の申し込みをし、7日の待期期間が経過すれば基本手当を受給できます。

お尋ねの方が求職の申し込み以前に、10日間のアルバイトに従事すれば、まだ失業給付を受けられる以前の状態ですから、基本手当への影響はありません。

ただし、求職申し込みを先延ばししていると、支給期間(原則1年)が経過して、手当をもらえなくなる可能性があるので注意が必要です。求職の申し込みをしてから、アルバイトを開始したら、どうなるのでしょうか。短期のアルバイトなら、賃金と基本手当の両方を手にすることができるのでしょうか。

まず、待期期間ですが、「失業している日が7日間」に達して、初めて期間満了となります。「失業」とは、労働の意思と能力があるに関わらず、職業に就くことができない状態をいいます(雇用保険法第4条)。

内職については、「4時間未満」が許容範囲で、それを超えると失業状態にあるとみなされません。そうなると、アルバイト(1日4時間以上)している期間中は、待期期間が満了しないので、基本手当の受給が遅れることになります。

次に、待期期間が終了してから、アルバイトを始めたとします。1日4時間未満なら、失業とみなされますが、基本手当の減額調整の対象になります(雇用保険法第19条)。

4時間以上なら、失業と認定されません。ただし、短期の就労の場合、就業手当の支給を受けることができます。ただし、基本手当の残日数が所定給付日数の45日以上、かつ3分の1以上なければいけません。就業手当の額は、原則として基本手当日額の30%相当額です。就業手当が支払われると、基本手当の残日数がその日数分だけ減ります。ですから、差し引き70%相当額の受給権は失われてしまいます。

アルバイトに従事すれば、基本手当の満額併給はできないという結論になります。

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