自社商品の値引きと福利厚生 (2014年10月号より抜粋)  
     
 

自社製品を格安で提供しているが差額が賃金とみなされる心配ないか

 

Q

当社では、従業員に対して自社製品を格安で提供しています。パートの中には、「私たちも、正社員と同じ割引率にしてほしい」と不満を述べる人もいます。上司は、「いっそのこと差額を給与にして払えば、文句の出る筋合いもなくなるのでは」といいます。現行の取扱いは、法的に問題があるのでしょうか。

 

 
 
A

3割引き以内なら問題ない

給与は通貨で支払うのが原則ですが、現物給付や経済的利益という形で間接的に支払われるものもあります。金銭(通貨)のやりとりという形式を採らなくても、それが給与・賃金・報酬等に該当する場合、適切に処理しないと税法や社会保険法上、問題が生じます。

自社製品の廉価提供は、広く一般企業で行われています。従業員に対する優遇措置という一面と、自社製品の販売促進という一面を併せ持ちます。

雇用する従業員が「他社ブランドの商品を好んで買っている」といううわさが広まれば、自社商品のイメージ・ダウンにつながります。会社としては、あの手この手を使って、自社商品を買うよう「仕向ける」のは、当然のことです。

「少なくとも正社員に限っては、浮気(他社製品の購買)は認めない」というのが一般的でしょう。強制が行き過ぎれば「賃金の通貨払の原則」に反する等の問題も生じかねませんが、多くの企業では、常識の範囲内で処理されているようです。

「常識」の基準ですが、たとえば税法関連では、次の条件を満たすときは課税しないというルールになっています。

  1. 値引き販売の価額が使用者の取得価額以上で、おおむね販売価額の70%以上

  2. 値引率について、役員や使用人の地位、勤続年数等に応じて合理的なバランスが保たれている

  3. 販売数量が、一般の家事消費と認められる程度のものである

貴社の値引措置が、この範囲に収まるものかどうか、確認してみてください。

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