36協定の本社一括届出 (2015年4月号より抜粋)  
     
 

本社と工場で事業の種類が異なるが一括届出の仕組み利用できるか

 

Q

平成27年度の時間外・休日労働(36)協定から、「本社一括届出」の仕組みを採用する方向で検討しています。当社では、本社(事務・営業)、工場(製造)、営業所(営業)というように事業の種類が異なります。協定届には「事業の種類」の記載欄がありますが、種類が異なる場合も一括届出ができるのでしょうか。

 

 
 

異業種でも問題ない

36協定は、「事業場単位」で締結し、それぞれの事業場を管轄する労基署に提出するのが原則です。しかし、協定の内容が「同一である」場合には、本社が所轄の労基署に一括して届出ることもできます(平15・2・15基発0215002号)。

「一括」の意味ですが、本社で企業全体を対象とする(1本の)36協定を締結するわけではありません。個々の事業場の36協定をまとめて、本社で一括手続きするという趣旨です。

ですから、「届出の際には、本社を含む事業場数に対応した部数の協定」を提出する必要があります。

同一企業で働くのですから、本社と支社で労働条件の差はできる限りなくすのがよいでしょう。ですから、36協定でも、時間外上限・休日労働の回数を統一するのが一般的です。

しかし、36協定届(様式第9号)をみると、「事業の名称」「事業の所在地」等を記載する欄があります。つまり、本社・工場の36協定届の記載事項には、「異なるのが当然」の部分もあります。

解釈例規では、「内容が同一とは、事業の種類・事業の名称・事業の所在地(電話番号)・労働者数以外の事項が同一であることをいう」と述べています。事業の種類が違っていても、届出の障害にはなりません。

注意が必要なのは、「協定の当事者である労働組合の名称または労働者の過半数を代表する者の職名および氏名」「使用者の職名および氏名」もすべての協定について同一とすべきとされている点です。

36協定締結の当事者は、2とおりが考えられます。使用者側は、支社には在籍していない社長本人であるケース、労働時間に関する決定権を委譲されている支社長等であるケースがあり得ます。

労働組合側は、本部の委員長である場合、支部長である場合、ともに可能です(平11・3・31基発168号)。

貴社でこれまで、工場長・営業所長と各事業場の労組支部長の間で、36協定を締結していたとすれば、当事者を変更する必要があります。

仮に、本社の過半数労組が、個々の工場・営業所では過半数を占めていなければ、その事業場に限っては一括届出の対象から除かれます。

なお、36協定のほかに、就業規則の作成・変更届も本社一括処理が認められています。就業規則は、本社・支社で共通の内容とするのが大多数でしょう。こちらも、「本社を含め事業場の数に対応した必要部数の就業規則」を提出します。意見書も事業場ごとに作成する必要があります。

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