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教育訓練給付金の支給要件期間みなおし (2018年1月号より抜粋)

従業員に専門実践教育訓練の受講を勧めたいが支給対象となる要件は?

 

Q 自己啓発によるレベルアップを図るため、会社としてバックアップ体制を整える計画です。雇用保険の教育訓練給付金の活用も有力な手段のひとつと考えていますが、中でも専門実践教育訓練は高度な資格取得等を後押しする制度と聞きます。申請には、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか。

 

A 平成30年から大幅緩和される(要件後述)

 

教育訓練給付金には、一般と専門実践の2区分が設けられています。専門実践教育訓練給付金は、課程修了まで長期間を要する訓練を対象とし、一般教育訓練よりも高率・高額の給付金が支給されます。

 

対象となる講座は、厚生労働省のHP上などで公開されています。本人が希望しても、給付金の対象とならない講座もある点に注意が必要です。

 

医療・介護等の資格が多数を占めていますが、美容師、調理師、電気工事士、建築士、航空整備士等の資格も含まれています。そのほか、専門学校の職業実践専門課程(商業実務・簿記等)、大学・大学院の社会人向け講座、情報通信技術に関する資格講座等もリストアップされています。

 

平成30年1月1日から要件等が変更されているので、改正前後の情報も含めてご紹介します。

 

教育訓練給付制度(雇用保険法第60条の2)は、在職者・離職者の両方が利用できます。離職者の場合、原則として資格喪失から1年以内に教育訓練を開始する必要があります。ただし、傷病・育児等の理由があれば、最長20年(改正前4年)まで適用対象期間が延長されます。

 

専門実践教育訓練の場合、教育訓練の開始日までに支給要件期間(被保険者だった期間)が3年(改正前10年)以上なければいけません。

 

なお、暫定措置として、当分の間、教育訓練給付を受けたことがない人については、支給要件期間2年で要件を満たしたものとみなされます(雇用保険法施行規則附則24条)。

 

すでに専門実践教育訓練給付を受けたことがある人に関しては、3年(改正前10年)が経過しないと、新しい訓練給付金の申請ができません。専門実践教育訓練を受けようとする人は、受講開始日の1ヵ月前までにハローワークへ「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」を提出しなければいけません。原則としてキャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを添付する必要がありますが、在籍者については会社の受講承認証明に代えることができます。

 

専門実践教育訓練給付金の額は、次のとおりです。


基本の額
受講費用の50%(改正前40%)。1年40万円(同32万円)など上限あり。

 

資格取得後1年以内に就職またはすでに雇用されている場合
受講費用の70%(同60%)。1年56万円(同48万円)など上限あり。