ロゴ

 

10年年金と振替加算 (2018年2月号より抜粋)

資格期間25年未満で老齢年金の資格を得た人に振替加算は?

 

Q 当社の嘱託社員ですが、年上の奥さんがまもなく65歳の誕生日を迎えるという話です。その関連で、「最近、加入期間10年で老齢年金をもらえるようになったらしいけれど、そんな人でも振替加算が付くの?」という質問を受けました。即答できなかったのですが、どんな規定になっているのでしょうか。

 

A 振替加算の対象となる

 

従来、老齢基礎年金の受給権を得るためには、原則25年以上の資格期間(保険料納付済期間、保険料免除期間、合算期間)が必要でした。

 

しかし、平成29年8月から、10年で条件を満たすように変わりました。

 

女性の中には国民年金の第3号被保険者期間(いわゆる専業主婦の期間)だけで、資格期間25年を満たす方もたくさんいます。しかし、晩婚で保険料未納期間が長い方の場合、25年に満たないケースもあります。

 

サラリーマンの夫(厚生年金の被保険者期間が原則20年以上)が年上の場合、夫が65歳になった時点で、まず夫の年金に配偶者加給年金額が加算されます(厚生年金保険法第44条)。その後、妻が65歳で自分の老齢基礎年金を受けるようになれば、夫の配偶者加給年金額が打ち切られ、妻の年金に振替加算が付きます(国民年金法第14条1項)。妻が被用者で夫が専業主夫という逆パターンもあり得ます。

 

ご質問では、奥さんが年上ということです。この場合、奥さんが自分の老齢基礎年金の受給権を得ても、その時点では振替加算の対象にはなりません。

 

夫が65歳になり配偶者加給年金額が加算される時期になって、初めて妻の年金に振替加算がオンされます(国年法第14条2項)。当然ながら、夫は最初から配偶者加給年金額をもらえません。

 

老齢年金の資格期間が短縮されましたが、振替加算について「資格期間25年以上」等の条件は付されていません。改定により資格を得られるようになった人たちも、原則として振替加算の対象となります。