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2013年の記事

 

 

 

(株)アーダン

■「シルクとともに歩む」

業種:シルク化粧品製造ほか
(株)アーダン


欧州とアジアの架け橋となったシルクロード。これをたどって観光に訪れる人は後を絶たない。シルクは世界中の女性を魅了し続けた素材。その絶大なブランド力は今も健在だが、国内ではシルクの素材である養蚕を営む農家は残念ながら減少の一途。こうした中、シルクを使った商品を国内外に発信するフレッシュな企業がある。

大島紬で有名な奄美大島に17年前に設立された(株)アーダン(鹿児島県奄美市)。西博顯(にし・ひろひと)社長は、シルクの力を余すことなく活用することに社を挙げて取り組む。シルクは科学的にその成分が解明され、人の肌と同じアミノ酸が集まったタンパク質でできている。まさに「自然の素肌」とも言える性質を持つ。

同社の「シルク化粧品」はシルクが85%も含まれる。この成分量の大きさは常識を覆す高級基礎化粧品へとつながっている。奄美大島出身の西社長は京都大学医学部を卒業、5年ほど前から創業者の母親に代わり社長を務める。「幼少の頃から大島紬を紡ぐ母親の傍で育ち」(西社長)、シルクの素晴らしさを「経験」と「医学的見地」の両方から熟知する。

新境地を拓く西社長の動きは素早い。再生医療分野でのシルク活用にも着目し、再生医療関連の素材研究にも力を入れる。さらにシルク化粧品の次の展開として同社初の医薬部外品製造に着手する考えだ。近く奄美大島に新工場を完成、稼働させる予定であり、そこでシルクを活用した医薬部外品を製造する。人の肌に優しいシルクを活用した新商品はまさに、老若男女問わず肌で悩む現代人の多くが待ち望む商品の一つになると思われる。

課題の一つはシルクの素材となる蚕の入手。奄美大島の養蚕農家は30年ほど前に完全に姿を消した。そこで西社長は2011年から行政、関係業界などと協力し奄美大島での養蚕業復活に動き出した。このほか絹織物で有名なフランスのリヨンでシルク化粧品の委託生産を計画、着々と準備を進める。奄美大島とリヨン間の現代版シルクロードを目指し、「シルクとともに歩む」西社長の夢は大きく広がる。停滞気味の日本に奄美大島から新鮮な風をぜひ吹き込んでもらいたい。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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