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相栄産業(株)

■「70年余、プレスを動かし続ける」

業種:プレス加工業
相栄産業(株)


地方の疲弊が叫ばれて久しい。○○銀座と呼ばれ、かつて賑わった商店街がシャッター通りと化している例は枚挙にいとまがない。モノづくり中小企業も、海外との競合、産業の空洞化、市場の消失などから転廃業を強いられるところが少なくない。そんな中でも、したたかに時代の荒波を乗り越えている企業が
全国各地に点在する。その一社、プレス加工の相栄産業(株)(新潟県三条市)は、第二次世界大戦時に中島飛行機の協力工場として創設されて以来、70有余年にわたり大中小のプレスを動かし続けて、今日に至る。

中島飛行機の機体板金の仕事から始まって、戦後は農機具を製造。次いで、自動車産業の勃興に合わせてトラックや乗用車のエンジン、ブレーキ、シート回りの部品製造に乗り出し、日本の高度成長と共に発展。低成長時代に移行し自動車業界に再編やコストダウンの嵐が吹きだすと、ティア2と呼ばれる2次下請け的な同社は、しわ寄せを免れず窮地に陥る。そんな折、ディーゼル車の排ガス規制に伴うトラック特需の追い風が吹き、トラックへ全面シフト。新分野として、自販機の転倒防止装置やソーラーパネルの屋根材などの部材加工に取り組む…。時代とともに変わるニーズに柔軟に対応してきた。

「いち早く大型プレスを導入し、オイルパン(エンジンオイル溜め)などの大型部品を加工できるようにしたのが当社の強み。板を緩めたり張ったり、スピードを加減するなど微妙な調整を繰り返すことでシワや歪みのない製品を作り出す絞り加工の技術も売り物となる」。相場章吾取締役は設備および技術の
優位性をそう説明する。

さらに、金型の設計・製作からプレス加工、溶接、組み立て、塗装まで一貫生産体制を築いている点も見逃せない。「発注企業にしてみると、当社に"丸投げ"が可能になり、購買の間接経費を抑えられるメリットが大きい。大手企業では対応できない多品種少量の注文にも、我々なら応えられる」(相場取締役)。

同社では現在、インドネシア進出のプロジェクトが走っている。現地企業との合弁により、初の海外拠点を立ち上げる計画だ。海外進出を機に、モノづくりの街として知られる地元・燕三条の企業との連携を強め共同受注案件の獲得に力を入れる方向性も打ち出している。グローバルとローカルの融合。それが同社の次なるテーマとなる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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