東京総研トップへ

元気な企業(最新)

2006年の記事

 

 

 

 

 

株式会社アイオムテクノロジー

 

■21世紀型のモノづくり経営を指向するベンチャー

業種:ナノテクによるコンデンサー製造
株式会社アイオムテクノロジー

電機製品には電気を蓄えるコンデンサーが必須部品。超小型化が進行してパソコン1台に約800個、携帯電話には同250個が組み込まれているという。これらのコンデンサーは大手メーカーの製品が圧倒的シェアを占めているが、ベンチャー企業の株式会社アイオムテクノロジー(新潟県新発田市、岩谷昭一社長)は、超薄型化で勝負をかけ、ついに世界一薄い積層セラミックコンデンサーを達成して存在感をアピールした。

電子機器に使われる積層セラミックコンデンサーは、髪の毛1本ほどの薄さの中に数十枚のセラミックと電極を重ね合わせて製作する。一般にはチタン酸化バリウムを塗布するが、同社は同バリウムを溶け込ませる方法を開発。より薄く、より高性能な製品を編み出し、世界一の超薄型化を実現した。それを可能にしたのは、同社自慢のナノテクノロジーだ。材料のセラミック自体を改良し、ナノテクによる微粒子の分散技術によって製法も改善した結果、世界最薄という大挙を成し遂げた。

同社は2001年に起業したベンチャー企業。当初から生産財のモノ作りが主体だが、製造業ではない。大学などと連携して研究開発を進め、量産化技術を確立した段階で、予め契約した企業に、製品ではなく技術を引き渡す。その企業が製品化し販売収入を得た時点で一部を報酬として得る。これが同社の21世紀型ベンチャーを指向する経営スタイル。技術革新テンポの早い時代だからこそ、「製品開発に徹したベンチャー企業の役割がある」の考え方だ。これまでに報酬を受ける段階まできた案件は数件あり、なかでも積層セラミックコンデンサーは経営を勢いづけた画期的な製品開発ともなった。

今年は同社の創業5周年。この節目に得意技術を生かした新たな製品開発を具体化し、「コンデンサーに次ぐ新規事業分野を開く」と岩谷社長の表情は明るい。同社にとっては真価が問われる第2ラウンドに入るが、それは同時に、製造業ではない21世紀型ベンチャー企業の経営モデルを築く正念場ともなる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2006年の記事に戻る