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2007年の記事

 

 

 

株式会社安成工務店

 

■設計力、企画力の強さ武器に新時代に挑む

業種:工務店
株式会社安成工務店


企画力と環境をキーワードに業績を伸ばしている工務店がある。株式会社安成工務店(山口県下関市、安成信次社長)がそれ。家作り、街づくりを通じて地域再生の担い手ともなろうと意欲を燃やす。

山口県と福岡県を地盤とする同社は昭和26年(1951年)の創業、今年で56周年。大工工務店としてスタート、1980年代前半から民間建築に移行。現在は建築事業と不動産事業の二本柱。同社の特色のひとつは自社商品が豊富な点。約130名の正社員の25%が企画、設計担当者。施工する物件の90%が自社設計だ。地方の工務店では設計の外注化が一般的。同社の自社設計率の高さは、企画力、設計の独自性が際立っていることを示している。小規模宅地向けの戸建て借家「ユニキューブ」はこの中でヒットした自社商品だ。従来より狭い土地で2階建て2棟ができるという土地の有効活用性がヒットの大きな要素となった。地元での評判は全国に伝わり、加盟店方式で施工ノウハウが着々と全国化しつつある。

環境共生型の商品作りにも力が入っている。特別な装置を使わずに、建物の仕組み自体を利用して太陽エネルギーを床暖房や採涼に用いる太陽熱利用システムもそのひとつ。「OMソーラー」の名で評判を上げた。セルロースファイバーを使った独自の断熱工事手法も開発している。2006年には環境への取り組みの集大成として「エコタウン」の分譲も始めた。環境配慮、環境活用、環境共生など、さまざまな工夫が建物だけでなく、街全体に込められた分譲だ。「地域に必要とされる新しい建設業、ネオ・コンダクターを作りたい」(安成社長)と意欲を燃やすのも、建物だけでなく地域全体が視野に入っているからだ。「地域再生」が単なる言葉ではなく重みを持つのはさまざまな実績が背後にあるのだ。

「近くの山の木で家をつくる」のコピーで、地元の育った木材で家作りすることも同社は勧めている。地元の自然で育った樹木は家の柱になると、人と同じようにふるさとの味をかもし出すだけでなく、気象の変化にも強いという。自然を活かした古来からの、樹木と家作りの好循環を現代化しようというのだ。独自の企画力、設計力の強さをバックに“環境”の切り口で、同社は高齢化・少子化の厳しい時代を乗り越えようと懸命だ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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