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2009年の記事

 

 

 

旭鍍金株式会社

 

メッキでも品質を造り込み不良品ゼロに

業種:バレル(槽)メッキ、フープメッキ
旭鍍金株式会社

世界の市場では今も日本の製品は優秀だという評価が定着している。部品の製造段階から品質を造り込もうという考えが各メーカーに浸透しているためだ。品質を確保するため各工程できめ細かいチェックをする。それでも時として品質に起因する不具合が生じ、リコールされることもある。不良品発生率という言葉がある。日本の不良品発生率は100万個生産して2個あるかどうかだといわれる。

旭鍍金株式会社(津市)は、バレル(槽)メッキやフープメッキを得意としている。そのバレルメッキで不良品ゼロを実現した。バレルメッキはワーク(加工対象物)をバレルに入れ、回転させながらメッキを施す方法だ。一度に大量の処理ができるため効率的で製品1個当たりのコストを抑えることができる。ところが、不良品の発生も多いといわれていた。

バレルを回転させるため製品にキズができたり、ワーク同士がくっつき、メッキ処理できない部分が出るためだ。小物製品だと穴に引っかかってしまう場合もある。メッキは単に表面の見栄えを良くするだけでなく、伝導性を良くしたり硬質化を実現したり、耐食性を持たせたりと様々な用途があることはいうまでもない。

同社が不良品ゼロを実現した秘密は、ワークの大きさや形状などに合わせ最適なバレルを設計していることにある。0.01ミリの線材を用いる超精密バネの場合、線材に合わせた穴をバレルにあけることで、線材が穴にかからないような工夫をした。さらに、メッキ溶液などあらゆる材料にも最大限の注意を払うことで不良品ゼロを達成したわけだ。その結果、納入先も含め「ワーク選別作業の必要がなくなり、不良品の処理も不要になるため、大幅なコストダウンにつながりお客さんに喜ばれる」(藤川勝彦社長)ことになる。

中小企業モノ作り高度化法に基づいて、「高耐食性メッキプロセスの研究開発」の認定を申請した。プリント基板実装工程では接点をスズと鉛の合金で接合していたが、環境問題から鉛が使えなくなり、スズと銅の合金などが用いられるようになった。ただピンホールを埋めるため、封止処理剤を用いる必要があり、処理剤の劣化にともない腐食し易くなってしまう。そこで、処理剤を使わずに腐食も防ぐメッキ法の開発を進めているもので、開発過程でも不良品発生をゼロにする工夫をしている。同社は「不良品を出さない」が合い言葉だ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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