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2006年の記事

 

 

 

 

 

(株)浅沼技研

 

■計量の基準づくりで世界を狙うメーカー魂

業種:計量機器メーカー
(株)浅沼技研

昨年夏、第1回『ものづくり日本大賞』の表彰が行われた際、計量機器メーカー(株)浅沼技研(静岡県浜松市)の浅沼進社長が特別賞(経済産業大臣賞)を受賞した。品質管理の基本になる「長さ」の基準づくりを進めて、計量技術を極めたことが評価されたものだが、国内でものづくり名人のお墨付きを得たのを節目に、技術開発に弾みをつけ、目下は計量の国際基準の推進役として世界舞台の中央に立つ勢いにある。

工業製品の多くは経年変化のほか、温度や衝撃などで長さに変化が生じるため、誤差のない計量は品質管理の基本といわれる。その計量基準を標準化する動きが世界各国に広がる中で、同社は計量基準づくりに着目して技術開発を進め、長さの精度を検証するビジネスモデルを確立しつつある。3年前、この技術を応用した精度検証機器が計量標準を管理する公的機関の米国標準技術研究所(NIST)から日本企業初の製品として認定された。これをきっかけに国際市場への突破口を開き、知名度も一躍アップした。

米国で評価を得た精度検証機器「クオリティーマスター」(商品名)は、計量基準の元となる“ものさし”でもある。それだけに技術力は中途半端ではない。昭和53年の創業以来、航空機部品や自動車・産業機械部品といった精密部品の製作に特化して技術を修練し、マイクロ単位の精度を追求するために、温度変化の影響を受けない生産体制へと自社工場の改革も断行した。設備投資から社員教育に至るまで、精度向上を最優先する社風を根付かせ、「世界に通用する製品づくり」に徹してきた点に同社経営の特徴がある。

ものづくり名人を受賞した浅沼社長は「日本のものづくりを守り、さらに強くするために精度の基準が必要だ」との啓蒙活動を展開中。すでにオンリーワン企業の路線を歩む同社だが、計量基準の標準化が進めば市場も広がる。精度を追求する経営はこれからが正念場だ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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