(株)ベルニクス
■「電源装置分野で「世界のベルニクス」目指す」
業種:産業用電源装置を製造・販売
(株)ベルニクス
エレクトロニクスの心臓部である産業用電源装置を製造・販売している(株)ベルニクス(埼玉県さいたま市)。同社の製品は世界初とか世界最小といった独創的な製品が多く、電源装置分野では中小企業でありながら大手企業と技術的にはそん色ない位置にある。「世の中にまだ出ていないオリジナル製品を真っ先に出して先行者利益を出す」ことをずっと鈴木正一郎社長は目指してきた。
ここまで来るには紆余曲折があった。従業員 260人規模でトランス製造を手掛けていた父親が、鈴木社長が大学在学中に他界し、その数年後会社は倒産した。当時技術部長だった鈴木社長のもとに「ぜひ一緒に仕事をやりたい」とまぎれもない、血判書を持った20数人の技術者がやってきて、こう申し出た。鈴木社長は資金がなかったため、大胆すぎるかとも考えたが思い切って現在の会社を立ち上げた。昭和53年、鈴木社長36歳だった。
それからの同社は、大手が参入したがらない技術の難度が高くてニッチな分野に挑戦していった。電車用の自動列車停止装置(ATS)向けでは約20年間、「電源の不良率がゼロ」(同)だ。また最高レベルの安全性が要求される原子力発電用制御棒センサー向けなども同社の得意とするところだ。
こうした高水準の製品を作るうえで同社は上場企業を含む20社近くに生産協力会社になってもらい、生産委託している。「大手企業は機械化が進み生産管理も行き届き、コストも安い」(同)からだという。同社の内製化率は7%程度に過ぎず93%程度を外部に生産委託している。このため生産に本来必要な投資を同社は技術開発に振り向けることができるという。
ただどこにも負けないオンリーワン企業を目指すため、「社内生産や外注管理を含む生産革新にも取り組んだ」(同)といい、モノ作りの原点もしっかり押さえている。これらを通じてコスト競争力の向上にも目を配る。「さいたま市発の世界のベルニクス」へ勢いがついている。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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