株式会社ベスト
■顧客ニーズを映す一貫体制でのモノ作り
業種:超精密プレス加工
株式会社ベスト
モノ作りには「自社だけで、どこまで完結できるか」という命題がある。素材生産から最終製品まで一貫体制で生産できれば、ユーザーの希望するスペックに限りなく近づくことができる。しかし、素材の生産まで手掛ける完成品メーカーは皆無といっていいだろう。素材は素材メーカーに、加工は加工メーカーに、アセンブリーは完成品メーカーにというように分業体制で一つの製品が出来上がっているケースが大半だ。ただ、工程内での一貫体制は可能だろう。
超精密プレス加工メーカーの株式会社ベスト(岩手県北上市)は「世界でも自分のところでしか作れないものをやる」(藤原澄夫社長)ために平成10年に起業した若い会社だ。従来の手法では実現が難しかったさまざまな超精密部品を開発し、事業化することを目指している。藤原社長は大手時計メーカーの子会社に20年間勤務し、時計の針やムーブメント部品などの金型設計、プレス加工などの技術・技能を修得してきた。
現場だけではない。生産管理や経営までも経験した。この間に得た教訓は、究極のモノ作りは「一貫体制」で製品を作り上げることが必要だということだった。すべてを自己完結できれば、顧客の意見をさまざまな工程で取り入れることが可能になり、顧客の求める製品のアウトプットが出来るというわけだ。
設計図段階での提案や調整、摺り合わせ、これらを基にした金型設計・製作
などは他社に任せず、すべて自社で手掛けている。さらにプレス加工、機械加工、仕上げ加工と一連の工程を自社内で完結できる体制も構築した。そのための加工機械を自社で開発することもしばしばだった。穴開け加工や曲げ加工など、製品化に向けての段取りがスムーズにいくのも、すべての工程を熟知しているがためである。
こうした中から外径0.03ミリメートル以内という高精密六角ナットが生まれた。切削加工ではここまでの加工は不可能なことから、超精密金型技術などを駆使して冷間鍛造プレス加工によって実現した。このナットはデジタルカメラやハードディスクドライブなどに採用されている。さらに板厚0.015ミリから0.050ミリの電波時計部品や、光ピックアップ用コネクターなどにも、他社に真似が出来ない超精密加工が威力を発揮している。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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