(株)ビッグウィル
■「間伐材活用で築いた地域ビジネスモデル」
業種:木材の特殊加工
(株)ビッグウィル
紙のように折り曲げたり、はさみで切ったりできる天然木極薄木材シート『樹の紙』が、内装材(壁紙)や、インテリア雑貨、文具、小物の素材として業界の注目を浴びている。平成22年3月に開かれた「ジャパンファッションウィーク(東京コレクション)」では、新開発の厚さ0.1ミリのシートを素材にしたドレスが出展され、話題となった。
世界最薄水準の360度折り曲げ可能な「天然木極薄ツキ板連続シート」を開発したのは、四国・吉野川中流域ののどかな山あいにある (株)ビッグウィル(徳島県東みよし町、近藤清美社長)である。過疎化が進み、限界集落化する近隣の山村を目の当たりにして、荒れた山林を蘇らせ、環境に貢献しながらお年寄りや障害者の雇用を確保して地域を活性化させたいと、地元の間伐材や端材を使ったツキ板加工技術の開発に乗り出し、平成19年に事業を立ち上げた。
近藤社長の事業の根底にある考えは、ノーマライゼーション。地元の養護老人ホームで福祉事業に携った経験をもとに、高齢者の生きがいのためにと、近くのお年寄りを雇用して蘭や花苗の栽培事業を始めた。しかし、貿易自由化によりアジアなどからの廉価な輸入品や大手企業に押され、撤退を余儀なくされることに。新規事業を模索する中、着目したのが、小さな頃から身近に目にしていた「木」だった。間伐材を活用できれば、荒れた山林の再生と雇用創出も可能になると、新分野へ乗り出した。
平成20年2月に「天然木極薄ツキ板連続シート」で「中小企業地域資源活用事業」の認定を受けると、展示会への出展やメディアへの露出も多くなり、"ひと"とのつながりもいっきに広がった。販売特約店は全国に拡大し、大手ハウスメーカーや建材メーカーからの引き合いも増えている。
可能性を秘めたこの分野で、更に新しい技術や商品を開発し、将来的には商品部門ごとに法人化し、若い経営者を育てていきたいと、近藤社長は未来への意気込みを語る。100年後の未来のために、若者が地元に戻り、お年寄りや障害者が安心して働ける、福祉・環境・雇用を一体化した地域ビジネスモデルの構築を全国に向けて発信する近藤社長の思いは熱い。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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